はじめに

こんにちは!「データの活用」という言葉を聞くと、数字がたくさん並んでいて難しそう…と感じる人もいるかもしれません。でも、安心してください。この章で学習する「箱ひげ図・散布図・クロス集計」は、複雑なデータの集まりを「パッと見てわかる形」にするための素晴らしい道具です。

共通テストでは、細かい計算よりも「図から何が読み取れるか?」という読み取りの力が重視されます。ポイントを押さえて、データの裏側にあるストーリーを読み解けるようになりましょう!


1. 箱ひげ図(Boxplot)の読み取り

箱ひげ図は、データの分布(散らばり具合)を「箱」と「ひげ」で表現した図です。これを見るだけで、データがどこに集中しているか、どれくらい幅があるかが一目でわかります。

箱ひげ図を構成する5つの数値

箱ひげ図は、データを小さい順に並べたときの以下の5つの指標(五数要約)に基づいています。

  • 最小値:一番小さい値(ひげの左端/下端)
  • 第1四分位数 (\(Q_1\)):下から 25% の位置にある値(箱の左端/下端)
  • 第2四分位数 (\(Q_2\) / 中央値):真ん中の値(箱の中の線)
  • 第3四分位数 (\(Q_3\)):下から 75% の位置にある値(箱の右端/上端)
  • 最大値:一番大きい値(ひげの右端/上端)

【ポイント:データの範囲】
範囲(レンジ):最大値 \(-\) 最小値。データ全体の広がりを表します。
四分位範囲 (IQR):\(Q_3 - Q_1\)。「箱の長さ」のことです。中央に集まっている 50% のデータの広がりを表します。

【豆知識】外れ値の表示
共通テストなどの図では、他のデータから極端に離れた値を「〇」などの記号で個別に表示することがあります。これを「外れ値」と呼びます。外れ値がある場合、ひげは外れ値を除いた中での最大・最小まで引かれます。

【よくある間違い】
「箱が長いほうがデータの数が多い」と勘違いしがちですが、それは間違いです!箱の長さはあくまで「値の散らばり(広がり)」を表しており、データの個数はどの区間(ひげ、箱の左半分、右半分など)もおよそ 25% ずつで同じです。


2. 散布図(Scatter Plot)の読み取り

散布図は、2つの項目の関係(相関)を調べるときに使います。横軸(\(x\)軸)と縦軸(\(y\)軸)にそれぞれの値をとって、点を打ったものです。

相関関係の種類

  • 正の相関:右上がりの傾向。片方が増えるともう片方も増える関係(例:気温とアイスの売上)。
  • 負の相関:右下がりの傾向。片方が増えるともう片方が減る関係(例:気温と使い捨てカイロの売上)。
  • 相関なし:点がバラバラで、特定の傾向が見られない。

【ポイント:相関の強さ】
点が直線状にぎゅっと集まっているほど「相関が強い」と言い、ぼんやりと広がっているほど「相関が弱い」と言います。

【よくある間違い:相関と因果】
「相関関係がある」からといって、必ずしも「原因と結果(因果関係)」があるとは限りません。例えば、「数学の点数が高い人は、身長が高い」というデータがあったとしても、身長を伸ばせば数学ができるようになるわけではありませんよね。たまたま別の要因(学年など)が関係しているだけの可能性もあります。


3. クロス集計表の読み取り

これまでは数値のデータ(量的データ)を見てきましたが、クロス集計表は「性別(男・女)」や「通学手段(自転車・電車・バス)」のようなカテゴリーのデータ(質的データ)を分析するのに適しています。

表の見方とコツ

2つの項目を縦と横に並べ、それぞれの組み合わせに当てはまる人数や件数を集計します。読み取りの最大のコツは、「実数(人数)」ではなく「比率(%)」に注目することです。

(例)あるクラスの「朝食を食べるか」と「テストの点数」の関係を調べる場合
・朝食を食べるグループの人数と、食べないグループの人数が違う場合、単に「合格者の人数」を比べるのは公平ではありません。
・それぞれのグループ内で「合格した人の割合(%)」を計算することで、初めて正しく比較できます。

【ポイント:構成比の比較】
全体の傾向と特定のグループの傾向を比べることで、「このグループにはこういう特徴があるな!」という発見ができます。


まとめ:この章のクイックレビュー

箱ひげ図:
・5つの数値(最小、\(Q_1\)、中央、\(Q_3\)、最大)でデータの散らばりを見る。
・箱の長さ(\(Q_3 - Q_1\))は中央 50% の範囲。

散布図:
・2つのデータの関連性(正・負・なし)を見る。
・右上がりなら正、右下がりなら負。

クロス集計:
・カテゴリーごとの関係をみる。
・人数(実数)の違いに騙されず、割合(比率)で考える。

最初は図を見て「うわっ」と思うかもしれませんが、何度も見ているうちに「あ、ここはデータが詰まっているな」「これは右下がりだから負の相関だな」と直感的にわかるようになります。まずは教科書の例題などを眺めて、図に慣れることから始めてみてくださいね!