【生物】進化の仕組み(1) 遺伝子の変化と形質の変化
こんにちは!この章では、生物が長い年月をかけて変化していく「進化」の原動力となる、遺伝子の変化(突然変異)について学びます。「進化」と聞くと、とても壮大な話に聞こえますが、その第一歩は、細胞の中にある小さなDNAの変化から始まります。
最初は少し難しく感じるかもしれませんが、言葉の意味を一つずつ整理していけば大丈夫です。一緒に見ていきましょう!
1. 突然変異とは何か?
生物の設計図であるDNAの塩基配列が変化することを突然変異といいます。この変化によって、親にはなかった新しい形質(生物の形や性質)が子に現れることがあります。これが進化のための「材料」になります。
ポイント:進化の材料
進化が起こるためには、集団の中に多様な個体がいる必要があります。その多様性を生み出す根本的な原因が「突然変異」です。
2. 遺伝子の変化の種類
突然変異は、大きく分けて2つのレベルで起こります。
① 遺伝子突然変異
DNAの塩基配列が局所的に変化することです。主に以下の3つのパターンがあります。
- 置換:ある塩基が別の塩基に入れ替わる。
- 欠失:塩基の一部が失われる。
- 挿入:新しい塩基が入り込む。
※「欠失」や「挿入」が起こると、それ以降の読み枠がズレてしまい(フレームシフト)、作られるタンパク質が大きく変わってしまうことが多いです。
② 染色体突然変異
染色体の数や構造が変化することです。
- 構造の変化:逆位(一部が逆さまになる)、転座(別の染色体と入れ替わる)、重複(一部が繰り返される)、欠失(一部がなくなる)。
- 数の変化:染色体の数が1〜数本増減したり、ゲノム全体が倍増したり(倍数性)すること。
よくある間違い
「突然変異は常に生物にとって悪いものだ」と思っていませんか?実はそうではありません。多くは生存に影響しない「中立」なものですが、中には環境に適応するのに有利な変化もあり、それが進化につながります。
3. 遺伝子の変化と形質の関係
なぜ遺伝子が変化すると、見た目や性質(形質)が変わるのでしょうか?その橋渡しをしているのがタンパク質です。
【形質が変わるプロセス】
1. DNAの塩基配列が変わる。
2. 転写・翻訳を経て作られるタンパク質のアミノ酸配列が変わる。
3. タンパク質の立体構造や働きが変わる。
4. その結果、生物の形質(色、形、代謝の能力など)が変化する。
例えば、ある酵素を作る遺伝子が突然変異して、その酵素が働かなくなると、特定の色素が作れなくなり、体の色が白くなる(アルビノなど)といった変化が起こります。
4. 進化における役割
突然変異によって生じた新しい形質が、その時の環境において生存や繁殖に有利であれば、その遺伝子は次世代に受け継がれやすくなります。このプロセスが繰り返されることで、種全体の性質が変化していくのです。
豆知識:突然変異の速度
突然変異が起こる確率は、1個の遺伝子あたり \(10^{-5}\) 〜 \(10^{-6}\) 程度と非常に低いです。しかし、生物には膨大な数の遺伝子があり、個体数も多いため、集団全体で見れば常にどこかで新しい変異が生まれている計算になります。
まとめ:この章の重要ポイント
- 突然変異はDNAの塩基配列や染色体の変化のことで、進化の原動力(材料)となる。
- 遺伝子突然変異には、塩基の置換・欠失・挿入がある。
- 遺伝子の変化は、タンパク質の変化を通じて形質の変化をもたらす。
- 突然変異には有利なもの、不利なもの、中立なものがある。
次は、これらの変化がどのように子孫に伝わり、集団の中で広がっていくのか、「遺伝子の組合せの変化(連鎖と組換え)」や「進化の仕組み」について学んでいきましょう!