N2 語形成:単語の形成 — N2にしか出ない問題
語形成(ごけいせい、word formation)はN2特有の問題です。問題3では、「( )常識」→ 非 のように、派生語や複合語を完成させる5つの項目が出題されます。これは、日本語の接頭辞、接尾辞、および複合動詞の要素を、生産的なシステムとして理解しているかを問うものです。この知識は5点分にとどまらず、読解セクションで何千もの未知の単語を読み解く力に直結します。この章は、N2合格のための完全ツールキットです。
1. 接頭辞(せっとうじ)
否定の4人組 — 最もよく出題される対比
| 接頭辞 | ニュアンス | 例 |
|---|---|---|
| 不〜 | un-(単純な否定;状態) | 不十分・不規則・不可能・不安 |
| 無〜 | without(〜がない) | 無責任・無意味・無関心・無料 |
| 非〜 | non-(規範に反する) | 非常識・非公開・非公式 |
| 未〜 | not YET(まだ〜していない) | 未経験・未完成・未使用・未定 |
試験で正解を導くための分け方:未=時期がまだ来ていない(未完);無=物が存在しない;非=カテゴリーや規範に違反する;不=単なる「〜ではない/足りない」。未経験(まだ経験がない)vs 無経験 ✗;非常識(常識に反する)vs 不常識 ✗。選択肢にすべて並んでいるときは、「存在しない?」「まだしていない?」「規範に反する?」「単なる否定?」を自問しましょう。
その他のセット
| 接頭辞 | 意味 | 例 |
|---|---|---|
| 再〜 | re- | 再利用・再開発・再検討 |
| 高〜/低〜 | high / low | 高性能・高収入/低価格・低カロリー |
| 新〜/旧〜 | new / former | 新製品・新記録/旧制度・旧校舎 |
| 最〜 | most | 最先端・最年少・最新 |
| 超〜 | ultra- | 超満員・超高速 |
| 諸〜/各〜 | various / each | 諸問題・諸外国/各家庭・各分野 |
| 当〜 | this/our(公的) | 当店・当社・当日 |
| 別〜 | separate | 別料金・別世界 |
| 翌〜 | the next | 翌日・翌年・翌朝 |
| 元〜/現〜 | former / current | 元社長・元選手/現段階・現住所 |
| 好〜/悪〜 | favorable / bad | 好景気・好印象/悪影響・悪循環 |
| 半〜/両〜/全〜/総〜 | half / both / all / gross | 半透明/両チーム/全世界/総人口 |
2. 接尾辞(せつびじ)
お金の4人組 — 2番目によく出題される対比
| 接尾辞 | ニュアンス | 例 |
|---|---|---|
| 〜料 | サービスに対する料金(固定) | 入場料・手数料・使用料・授業料 |
| 〜費 | 費用のカテゴリー(時間をかけて消費) | 交通費・生活費・光熱費・学費 |
| 〜代 | 消費するものに対する対価 | 電気代・タクシー代・部屋代・バス代 |
| 〜賃 | 運賃や家賃(労働と空間) | 家賃・運賃 |
覚え方のコツ:料はサービスを買うもの(入場、手続き)、費は予算の項目(生活、交通)、代は消費するもの(電気、タクシー)、賃は運賃や賃貸の古い言葉。電気(代)、交通(費)、入場(料)、家(賃)というコロケーションを徹底的に覚えましょう。試験はまさにこの境界線を問います。
抽象化・分類
| 接尾辞 | 意味 | 例 |
|---|---|---|
| 〜的 | -al/-ic(形容詞化) | 経済的・個人的・具体的 |
| 〜性 | -ity/-ness(性質) | 可能性・安全性・必要性 |
| 〜化 | -ization(〜になること) | 少子化・自動化・悪化 |
| 〜制/〜式 | system / style | 会員制・予約制/日本式・自動式 |
| 〜風 | style, manner | 和風・洋風・サラリーマン風 |
| 〜別/〜順 | classified by / in order of | 年齢別・男女別/五十音順・先着順 |
| 〜内 | within | 社内・期間内・予算内 |
| 〜中 | in the middle of | 会議中・工事中・営業中 |
人、製品、移動
| 接尾辞 | 意味 | 例 |
|---|---|---|
| 〜者/〜家/〜士・〜師 | person / -ist / licensed pro | 経験者・参加者/専門家・政治家/弁護士・看護師 |
| 〜産/〜製 | produced in / made in-of | 北海道産・外国産/日本製・金属製 |
| 〜発/〜着/〜行き | departing / arriving / bound for | 東京発・大阪着・京都行き |
| 〜込み | included | 税込み・送料込み |
| 〜済み | already done | 使用済み・予約済み・支払い済み |
| 〜沿い | along | 川沿い・線路沿い |
| 〜向け/〜向き | aimed at / suited-facing | 子供向け・輸出向け/南向き・家族向き |
| 〜ぶり | after a lapse; manner | 三年ぶり/仕事ぶり・話しぶり |
文法コースで学習した状態を表す接尾辞も、語形成として現れます:〜だらけ(泥だらけ)、〜がち(遅れがち)、〜気味(風邪気味)、〜っぽい(水っぽい)、〜かけ(食べかけ)、〜きれない(数えきれない)— これらは一つのシステムとして、試験の2つのセクションをカバーしています。
3. 複合動詞(ふくごうどうし)
| 要素 | 意味 | 例 |
|---|---|---|
| 〜出す | 突然〜する;外へ出す | 泣き出す・走り出す・思い出す |
| 〜かける | 〜しそうになる;半分だけ;相手に向かって | 言いかける・読みかけ・話しかける |
| 〜きる/〜ぬく/〜通す | 完全に/苦労して最後まで/ずっと最後まで | 使いきる/やり抜く・考え抜く/読み通す |
| 〜込む | 中へ;深く | 飛び込む・書き込む・考え込む |
| 〜直す | やり直す | やり直す・見直す・書き直す |
| 〜合う | 互いに | 助け合う・話し合う・知り合う |
| 〜替える | 入れ替える | 着替える・書き換える・乗り換える |
| 〜忘れる/〜損なう・そこねる/〜遅れる | 〜し忘れる/失敗する/〜するのに遅れる | 言い忘れる/見損なう・食べそこねる/乗り遅れる・逃げ遅れる |
| 〜続ける | ずっと〜する | 増え続ける・待ち続ける |
完了のトリオのニュアンス:きる=完全に使い切る(使いきる)、ぬく=困難に耐えて最後までやり抜く(やり抜く)、通す=最後まで状態を維持する(読み通す)。試験ではこの3つが並ぶことがありますが、文脈の感情的なトーンで判断します。
4. 試験での出題形式 — 実践問題
この駐車場は、( )料金で一日とめられる。
① 別 ② 副 ③ 反 ④ 過 → ① 別料金(別の料金)。
そのアパートの家( )は、月8万円だ。
① 費 ② 料 ③ 代 ④ 賃 → ④ 家賃 — 賃の代表例。(電気なら代、入場なら料、生活なら費!)
電車に乗り( )、次の電車を1時間待った。
① 遅れて ② 忘れて ③ 直して ④ 出して → ① 乗り遅れる(電車に乗るのに遅れる)。
戦略
- 候補の単語を頭の中で声に出してみる — 正しい言葉は自然に響き、間違った言葉は違和感がある(不常識は違和感がある)。
- 否定の4人組:存在しない(無)? まだ(未)? 規範に反する(非)? 単なる否定(不)?
- お金の接尾辞:サービス(料)? 予算項目(費)? 消費物(代)? 運賃・家賃(賃)?
- 5項目=約3分 — パターンを知ることで、解答用紙の中で最も速く解けるセクションになります。
まとめと重要ポイント
- 語形成(N2のみ、5問):派生語・複合語を完成させる。接頭辞、接尾辞、複合動詞を一つの「システム」として覚えること。
- 2つの最重要対比:否定の不/無/非/未と、お金の料/費/代/賃。コロケーションで境界線をしっかり覚える。
- 生産性の高い接尾辞(的・性・化・済み・込み・向け・別・順…)は、読解セクション全体の未知語を解読する鍵になる。
- 複合動詞の要素が持つアスペクト:出す(急な開始)、かける(途中で)、きる/ぬく/通す(3つの完了)、遅れる/損なう(失敗)。
- 「音」のチェックを忘れずに。語形成の知識は、JLPTのすべてのセクションで役立ちます。