N5漢字の読み:完全マスターコース
N5へようこそ!この章は、N5レベルの漢字の読みを完全にマスターするためのテキストです。必須となる基本漢字とその読み、正しい読みを選び分けるルール、そして試験の「問題1(漢字読み)」でどのように出題されるかを網羅しています。すでに「初級日本語」でこれらの漢字のうち約30個(数字、曜日、人・大・小など)は学習済みですので、準備はすでに始まっています。強固な基礎となる漢字群を身につけ、何より重要な「読みのシステム」をマスターしましょう。
試験での出題形式:語彙セクションの「問題1」では、短い文が出題され、各文には漢字が1つ下線付きで表記されています。その正しいひらがなの読み方を4つの選択肢から選びます。誤った選択肢はランダムではなく、実際の読み間違い(母音の長短、促音「っ」の有無、音読みと訓読みの混同、連濁のミスなど)に基づいて作られたトラップです。読み方を「単語」として学習すれば、こうしたトラップに惑わされることはありません。
1. 読みのシステム:音読みと訓読みの使い分け
「初級日本語」で学習した通り、漢字には通常、中国語由来の音読みと、日本語本来の訓読みがあります。基本的なルールは以下の通りです:
・漢字の組み合わせ(2文字以上)→ 音読み: 学生(がくせい)、先生(せんせい)、電車(でんしゃ)、毎日(まいにち)。
・漢字単体、または送り仮名付き → 訓読み: 山(やま)、水(みず)、食べる(たべる)、高い(たかい)。
・例外もあり、試験にもよく出ます — 特に熟語独自の読み方(熟字訓): 今日(きょう)、明日(あした)、今朝(けさ)、大人(おとな)、一人(ひとり)、二人(ふたり)、上手(じょうず)、下手(へた)、時計(とけい)、眼鏡(めがね)、友達(ともだち)。
知っておくべき3つの音の変化
・連濁(れんだく): 複合語の2番目の要素が濁ることがあります: 時(とき)→ 時々(ときどき)、花+火→はなび、手+紙→てがみ。
・促音変化: つ/ち + k/s/t/p の組み合わせで「っ」に変化します: 学(がく)+校(こう)→ 学校(がっこう)、一(いち)+分(ふん)→ 一分(いっぷん)。
・h → p/bへの変化(ん・っの後): 分(ふん)→ 三分(さんぷん)、半(はん)→ 三時半(変化なし)、百(ひゃく)→ 三百(さんびゃく)、六百(ろっぴゃく)。
2. 基本漢字一覧:テーマ別
表記形式:音読みはカタカナ、訓読みはひらがな(送り仮名はドット以降)。★は「初級日本語」で習った漢字です。まずはその読みを復習し、新しい漢字に力を入れましょう。例の単語はすべて声に出して読んでください。
数字と金額(14個)— すべて★
漢字|音読み|訓読み|意味|重要語彙
一|イチ|ひと・つ|one|一つ(ひとつ)/一月(いちがつ)
二|ニ|ふた・つ|two|二つ(ふたつ)/二人(ふたり)
三|サン|みっ・つ|three|三つ(みっつ)/三月(さんがつ)
四|シ|よっ・つ/よん|four|四月(しがつ)/四時(よじ)
五|ゴ|いつ・つ|five|五つ(いつつ)/五分(ごふん)
六|ロク|むっ・つ|six|六つ(むっつ)/六時(ろくじ)
七|シチ|なな・つ|seven|七月(しちがつ)/七つ(ななつ)
八|ハチ|やっ・つ|eight|八つ(やっつ)/八百(はっぴゃく)
九|キュウ・ク|ここの・つ|nine|九時(くじ)!/九人(きゅうにん)
十|ジュウ|とお|ten|十日(とおか)/十時(じゅうじ)
百|ヒャク|—|hundred|三百(さんびゃく)/六百(ろっぴゃく)
千|セン|—|thousand|三千(さんぜん)/千円(せんえん)
万|マン|—|ten thousand|一万円(いちまんえん)
円|エン|まる・い|yen; circle|百円(ひゃくえん)
時間とカレンダー(13個)
漢字|音読み|訓読み|意味|重要語彙
年|ネン|とし|year|今年(ことし)/来年(らいねん)
月 ★|ゲツ・ガツ|つき|month; moon|月曜日(げつようび)/三月(さんがつ)
日 ★|ニチ・ジツ|ひ・か|day; sun|毎日(まいにち)/日曜日(にちようび)
時|ジ|とき|time; hour|時間(じかん)/時々(ときどき)
分|フン・ブン|わ・かる|minute; part; understand|五分(ごふん)/自分(じぶん)/分かる
半|ハン|なか・ば|half|二時半(にじはん)/半分(はんぶん)
週|シュウ|—|week|先週(せんしゅう)/毎週(まいしゅう)
毎|マイ|—|every|毎朝(まいあさ)/毎晩(まいばん)
今|コン|いま|now|今(いま)/今日(きょう)/今月(こんげつ)
午|ゴ|—|noon|午前(ごぜん)/午後(ごご)
前|ゼン|まえ|before; front|名前(なまえ)/午前(ごぜん)
後|ゴ・コウ|あと・うし・ろ|after; behind|午後(ごご)/後ろ(うしろ)
間|カン|あいだ|interval; between|時間(じかん)/一週間(いっしゅうかん)
自然と天気(13個)
漢字|音読み|訓読み|意味|重要語彙
火 ★|カ|ひ|fire|火曜日(かようび)
水 ★|スイ|みず|water|水(みず)/水曜日(すいようび)
木 ★|モク・ボク|き|tree; wood|木(き)/木曜日(もくようび)
金 ★|キン|かね|gold; money|お金(おかね)/金曜日(きんようび)
土 ★|ド|つち|earth; soil|土曜日(どようび)
空|クウ|そら・あ・く|sky; empty|空(そら)/空港(くうこう)
天|テン|—|heaven|天気(てんき)
気|キ|—|spirit; air|元気(げんき)/天気(てんき)
雨|ウ|あめ|rain|雨(あめ)/大雨(おおあめ)
山 ★|サン|やま|mountain|山(やま)/富士山(ふじさん)
川 ★|セン|かわ|river|川(かわ)
花|カ|はな|flower|花(はな)/花見(はなみ)
魚|ギョ|さかな|fish|魚(さかな)
人々と家族(10個)
漢字|音読み|訓読み|意味|重要語彙
人 ★|ジン・ニン|ひと|person|日本人(にほんじん)/三人(さんにん)/一人(ひとり)!
男|ダン|おとこ|man|男の人(おとこのひと)
女|ジョ|おんな|woman|女の子(おんなのこ)
子|シ|こ|child|子ども(こども)
父|フ|ちち・とう|father|父(ちち)/お父さん(おとうさん)
母|ボ|はは・かあ|mother|母(はは)/お母さん(おかあさん)
友|ユウ|とも|friend|友達(ともだち)
名|メイ|な|name|名前(なまえ)/有名(ゆうめい)
生|セイ・ショウ|い・きる/う・まれる|life; be born|学生(がくせい)/生まれる(うまれる)
先|セン|さき|ahead; previous|先生(せんせい)/先週(せんしゅう)
身体(5個)
漢字|音読み|訓読み|意味|重要語彙
口 ★|コウ|くち・ぐち|mouth|口(くち)/出口(でぐち)/入り口(いりぐち)
目 ★|モク|め|eye|目(め)/一番目(いちばんめ)
耳|ジ|みみ|ear|耳(みみ)
手|シュ|て|hand|手(て)/手紙(てがみ)
足|ソク|あし・た・りる|foot; suffice|足(あし)
場所と交通(7個)
漢字|音読み|訓読み|意味|重要語彙
国|コク|くに|country|国(くに)/外国(がいこく)/中国(ちゅうごく)
店|テン|みせ|shop|店(みせ)/喫茶店(きっさてん)
駅|エキ|—|station|駅(えき)/駅前(えきまえ)
道|ドウ|みち|road|道(みち)
電|デン|—|electricity|電気(でんき)/電車(でんしゃ)/電話(でんわ)
車|シャ|くるま|car; wheel|車(くるま)/電車(でんしゃ)/自動車(じどうしゃ)
社|シャ|—|company; shrine|会社(かいしゃ)
方向と位置(10個)
漢字|音読み|訓読み|意味|重要語彙
上 ★|ジョウ|うえ・あ・がる|up; above|上(うえ)/上着(うわぎ)
下 ★|カ・ゲ|した・さ・がる/くだ・さい|down; below|下(した)/下さい(ください)/下手(へた)!
中 ★|チュウ|なか|middle; inside|中(なか)/中国(ちゅうごく)/一日中(いちにちじゅう)
外|ガイ|そと|outside|外(そと)/外国人(がいこくじん)
左|サ|ひだり|left|左(ひだり)
右|ウ・ユウ|みぎ|right|右(みぎ)
北|ホク|きた|north|北(きた)/北口(きたぐち)
南|ナン|みなみ|south|南(みなみ)
東|トウ|ひがし|east|東(ひがし)/東京(とうきょう)
西|セイ・サイ|にし|west|西(にし)/西口(にしぐち)
動詞の漢字(16個)
漢字|音読み|訓読み|意味|重要語彙
行|コウ|い・く|go|行く(いく)/銀行(ぎんこう)/旅行(りょこう)
来|ライ|く・る/き・ます|come|来る(くる)/来ます(きます)/来週(らいしゅう)
出|シュツ|で・る/だ・す|exit; take out|出る(でる)/出す(だす)/出口(でぐち)
入|ニュウ|はい・る/い・れる|enter; put in|入る(はいる)/入れる(いれる)/入り口(いりぐち)
見|ケン|み・る|see|見る(みる)/見せる(みせる)
聞|ブン|き・く|hear; ask|聞く(きく)/新聞(しんぶん)
言|ゲン|い・う|say|言う(いう)/言葉(ことば)
話|ワ|はな・す/はなし|speak; story|話す(はなす)/電話(でんわ)/会話(かいわ)
読|ドク|よ・む|read|読む(よむ)
書|ショ|か・く|write|書く(かく)/辞書(じしょ)
食|ショク|た・べる|eat|食べる(たべる)/食堂(しょくどう)
飲|イン|の・む|drink|飲む(のむ)/飲み物(のみもの)
買|バイ|か・う|buy|買う(かう)/買い物(かいもの)
立|リツ|た・つ|stand|立つ(たつ)
休|キュウ|やす・む|rest|休む(やすむ)/休み(やすみ)
会|カイ|あ・う|meet|会う(あう)/会社(かいしゃ)
形容詞の漢字(10個)
漢字|音読み|訓読み|意味|重要語彙
大 ★|ダイ・タイ|おお・きい|big|大きい(おおきい)/大学(だいがく)/大変(たいへん)
小 ★|ショウ|ちい・さい|small|小さい(ちいさい)
高|コウ|たか・い|tall; expensive|高い(たかい)/高校(こうこう)
安|アン|やす・い|cheap; safe|安い(やすい)
新|シン|あたら・しい|new|新しい(あたらしい)/新聞(しんぶん)
古|コ|ふる・い|old|古い(ふるい)
長|チョウ|なが・い|long; chief|長い(ながい)
多|タ|おお・い|many|多い(おおい)
少|ショウ|すこ・し/すく・ない|few; a little|少し(すこし)/少ない(すくない)
白|ハク|しろ・い|white|白い(しろい)
学習・言語(4個)+疑問詞(1個)
漢字|音読み|訓読み|意味|重要語彙
学|ガク|まな・ぶ|study|学生(がくせい)/学校(がっこう)
校|コウ|—|school|学校(がっこう)/高校(こうこう)
語|ゴ|—|language|日本語(にほんご)/英語(えいご)
本 ★|ホン|もと|book; origin|本(ほん)/日本(にほん)/三本(さんぼん)
何|—|なに・なん|what|何(なに)/何時(なんじ)/何人(なんにん)
3. 試験によく出る特別な読み方
これらの熟語独自の読み方は、通常のルールを無視しており、「問題1」で最も出題されやすいポイントです。セットで暗記しましょう:
単語|読み|引っかからないためのポイント
今日|きょう|「こんにち」ではない(単語として使う場合)
今朝|けさ|「こんあさ」ではない
明日|あした|—
今年|ことし|「こんねん」ではない
大人|おとな|「だいにん」ではない
一人/二人|ひとり/ふたり|「いちにん/ににん」ではない
下手|へた|「したて」ではない
上手|じょうず|「うわて」ではない
友達|ともだち|連濁:「たち」ではなく「だち」
時計|とけい|—
一日|ついたち(1日)/いちにち(1日分)|文脈による!
十日|とおか|「じゅうにち」ではない
二十日|はつか|「にじゅうにち」ではない
九時/四時/七時|くじ/よじ/しちじ|「きゅうじ/よんじ」ではない
4. 試験対策と攻略法
形式(問題1): 「わたしの 母 は先生です。」→ ① はは ② ちち ③ あね ④ いもうと。文中で使われている下線部の漢字の読みを選びます。
回答例
すみません、入り口はどこですか。
① はいりくち ② いりくち ③ いりぐち ④ にゅうこう
考え方:入り口は送り仮名(り)があるため、訓読みの領域 → いり + くち。そして複合語なので くち が濁って ぐち(連濁)になる。答えは ③ いりぐち。①は間違った訓読み、②は連濁の忘れ、④は無理やり音読みを当てはめたもので、典型的な3大誤答パターンです。
戦略チェックリスト
・まずは文全体を読む — 「一日」は日付なら「ついたち」、期間(一日中など)なら「いちにち」のように、文脈そのものが問題の一部となっています。
・母音の長短を注意深く確認: 「おばさん/おばあさん」のようなトラップが「ゆき/ゆうき」「こうこう/ここ」などで現れます。選択肢を心の中で、正確な拍(リズム)を意識して発音してみましょう。
・促音「っ」の確認: 「がっこう」(がこうではない)、「きって」(きてではない)、「一分→いっぷん」などに注意。
・連濁の感覚: 2番目の要素は濁ることが多い — てがみ、でぐち、ときどき、ともだち。もし選択肢に、濁ったものと濁っていないものが並んでいれば、連濁が試されています。
・数字+助数詞は得点源: 「ついたち…とおか」「ひとり・ふたり」「よじ・くじ・しちじ」「さんぼん・さんびゃく・さんぜん」を初級日本語の内容から復習しておきましょう。これらは容赦なく繰り返し出題されます。
・問題1はスピード勝負:1問につき約30秒を目安にし、浮いた時間を読解問題のために確保しましょう。
5. 学習計画
・1日1テーマの表ずつ進める(新しい漢字を5回書き、例の単語を声に出す)。約2週間でこの基本漢字セットをすべてカバーできます。
・すべての漢字について、抽象的な読みのリストを覚えるのではなく、音読みの単語1つと訓読みの単語1つを覚える — 水:みず/すいようび、と覚えれば、両方の読みがずっと定着します。
・次に、特別な読み方の表を即座に出るまでドリル練習します。最後に逆引きクイズ:こうこうを見て → 「高校」と書けるかチェックします。
まとめと重要ポイント
・N5の基本漢字:複合語 → 音読み、単体/送り仮名付き → 訓読み。さらに、試験で最も狙われる特別な読み方(きょう、おとな、ひとり、へたなど)の頻出セットを押さえる。
・音の変化:連濁(てがみ)、促音変化(がっこう)、ん+h→p(さんぷん)。
・問題1の誤答パターン = 母音の長短の間違い、促音の欠落、濁っていない連濁、または間違った読みの形式 — それぞれを体系的に確認する。
・読みを単語として覚える。漢字1つにつき音読み単語1つ+訓読み単語1つを覚えれば、システム全体が驚くほどすっきりと定着します。