N5 発話表現:その状況で何と言いますか?

発話表現(はつわひょうげん、verbal expressions — 5問)は、試験のロールプレイ問題です。の中に矢印(➡)が一人を指しており、ナレーターがその状況を説明します。あなたは、その人が言うべきセリフを3つの選択肢(音声のみ)から選びます。絵以外には何も書かれていません。この問題は、まさに「実用日本語」です。依頼、要求、提案、謝罪、招待などの定型表現を使いこなせるかどうかが試されます。この章は、N5レベルの状況別・表現カタログです。

1. 出題形式

  1. 絵を見ます。矢印が指している人が話者(あなたが選ぶべきセリフの主)です。
  2. ナレーター:友だちのペンを借りたいです。何と言いますか。
  3. 3つの短い選択肢が流れます:① ペンを貸してください。② ペンを借りてください。③ ペンを貸しましょうか。
  4. 正解:① — ペンを(自分に)貸してほしいので、丁寧な依頼の「〜てください」を使います。

不正解の選択肢がなぜ間違っているかに注目してください。②は動詞の向きが間違っています(「借りる」か「貸す」か — 受信者が「貸してください」とは言えますが、自分に向かって「借りてください」とは言いません)。③は提案(貸しましょうか?)であり、役割が逆転しています。発話表現の2つの強力な武器は、動詞の向き役割の逆転です。「その動作をするのは自分か、相手か?」を常に自問してください。

2. 状況カタログ

これらはN5の標準的なシチュエーションと正しい発話です。すべて声に出して読んでください。試験では音声が流れるので、耳で聞き取れるようにしておく必要があります。

依頼:誰かに何かをしてもらう

状況発話
物を貸してほしい時〜を貸してください。/〜を借りてもいいですか。
ゆっくり話してほしい・繰り返してほしい時ゆっくり話してください。/もう一度言ってください。
待ってほしい時ちょっと待ってください。
見せてほしい時それを見せてください。
教えてほしい時教えてください。
塩や物を取ってほしい時すみません、それを取ってください。
店でそれが欲しい時それをください。/それを見せてください。

許可:〜してもいいですか?

状況発話
部屋に入りたい時入ってもいいですか。/失礼します。
写真を撮りたい時写真を撮ってもいいですか。
電話やトイレを使いたい時電話を使ってもいいですか。/トイレを借りてもいいですか。
空いている席に座りたい時ここ、いいですか。/すわってもいいですか。
早く帰りたい時(先生や上司に)すみません、先に帰ってもいいですか。

提案:〜しましょうか?/どうぞ

状況発話
相手が荷物で大変そうな時持ちましょうか。
部屋が暑く、窓の近くにいる時窓を開けましょうか。
客が家に来た時どうぞ、入ってください。/どうぞ、すわってください。
食べ物や飲み物を出す時どうぞ、食べてください。/お茶はどうですか。
物を渡す時はい、どうぞ。

招待と計画

状況発話
友達を食事や映画に誘う時いっしょに昼ごはんを食べませんか。/映画を見に行きませんか。
誘いに同意する時いいですね。行きましょう。
やんわり断る時すみません、その日はちょっと…。

謝罪、感謝、日常のあいさつ

状況発話
足を踏んだ/ぶつかった時すみません。/ごめんなさい。
遅刻した時おくれてすみません。
物をもらった/助けてもらった時ありがとうございます。
家を出る時 ⇄ 残る人いってきます。⇄ いってらっしゃい。
帰宅した時 ⇄ 出迎える人ただいま。⇄ おかえりなさい。
食事の前 ⇄ 後いただきます。⇄ ごちそうさまでした。
初めて会う時はじめまして。どうぞよろしくおねがいします。
人の家を訪問する時(入る時)おじゃまします。
同僚より先に帰る時おさきに失礼します。

質問や要求

状況発話
迷子で駅を聞きたい時すみません、駅はどこですか。
値段を知りたい時これはいくらですか。
時間を知りたい時今、何時ですか。
店員を呼ぶ時すみません!(+注文)
聞こえなかった/わからなかった時え?すみません、もう一度おねがいします。

3. 3つの間違った選択肢のパターン

間違った2つの選択肢は、毎回同じ3つの型で作られています。型を知っていれば、語彙がわからなくてもで消去できることがあります。

  1. 役割の逆転:相手が言うはずのセリフ。状況:あなたがプレゼントをもらう → 間違いの選択肢:どうぞ(あげる側のセリフ)。正解:ありがとうございます。絵の矢印が誰を指しているか、二度確認してください。
  2. 動詞の向きの入れ替え:貸す/借りる、あげる/もらう、教える/習うを逆に使う:ペンを借りてください ✗。依頼に動詞が含まれる場合は「誰がその動作をするのか?」と自分に問いかけてください。「〜てください」は相手に動作を求めます。
  3. 機能の入れ替え:語彙は正しいが、発話の機能が違う。提案(〜ましょうか)が必要な場面で依頼(〜てください)を使ったり、質問が必要な場面で平叙文を使うなど:写真を撮ります ✗ vs 撮ってもいいですか ○。

4. 練習問題

(絵:教室。矢印は職員室のドアの前にいる学生を指している。)
ナレーター:先生の部屋に入りたいです。何と言いますか。
① 失礼します。入ってもいいですか。
② いらっしゃいませ。
③ おじゃましました。

解説:先生の部屋に入る=許可+丁寧な入室 → 。②は「店員」の挨拶(役割の逆転 — あなたは誰かをもてなしているわけではありません);③は誰かの場所から出る時に言う言葉(時間の機能の入れ替え)。まさに型の通りです。

5. トレーニング方法

  • フレーズではなく、状況でフラッシュカードを作る:プロンプト=「友達のペン、借りたい」、回答=「貸してください」。試験は状況から発話を選ぶ形式なので、その方向で訓練してください。
  • カタログをシャドーイングする:それぞれのセリフが自然なメロディになるまで繰り返します。選択肢は早く流れるため、文法を解析するよりリズムで認識する方が早いです。
  • フレーズを生活で使う:実生活で「どうぞ」「すみません」「おじゃまします」を使うことは、そのまま試験対策になります。実際に言葉を発する学習者が有利な問題です。

まとめと重要ポイント

  • 発話表現(5問):絵+矢印+状況説明 → 3つの音声選択肢から正しいセリフを選ぶ。
  • 主要な表現:依頼(〜てください)、許可(〜てもいいですか)、提案(〜ましょうか/どうぞ)、招待(〜ませんか)、謝罪・感謝、日常のあいさつ、情報の質問。
  • ひっかけのパターン:役割の逆転動詞の向きの入れ替え(貸す/借りる等)、機能の入れ替え(提案vs依頼vs平叙文)。
  • 常に矢印が誰を指しているかを確認し、選ぶ前に「その動作をするのは誰か?」と考える。
  • 状況から発話への変換を声に出して練習する。これらのフレーズは、日本での日常生活そのものです。