1. 電流がつくる磁界:電気と磁気の不思議な関係
みなさんは、方位磁石の近くに磁石を近づけると針が動くのを見たことがありますよね?実は、磁石だけでなく「電流」を流すことでも、方位磁石の針を動かすことができるんです。これは、「電流が流れるとその周りに磁界が発生する」という物理の大切なルールがあるからです。
「磁界って目に見えないから難しそう…」と思うかもしれませんが、大丈夫です!まずは、電流の「形」によって、どんな磁界ができるのかを順番に見ていきましょう。
2. 直線電流がつくる磁界
まっすぐな電線(直線状の導線)に電流を流したとき、その周りにできる磁界を考えます。
(1) 磁界の向き:右ねじの法則
電流を流すと、電線を中心とした同心円状の磁界が発生します。この向きを見つけるのが「右ねじの法則」です。
【やり方】
右手の親指を電流の向きに立てます。このとき、残りの4本の指を軽く握りこんでください。この「4本の指が回る向き」が、磁界の向きになります!
(2) 磁界の強さ \(H\)
電線から距離 \(r\) [m] はなれた場所の磁界の強さ \(H\) [A/m] は、次の式で表されます。
\(H = \frac{I}{2\pi r}\)
※ \(I\):電流の強さ [A]、\(r\):電線からの距離 [m]
ポイント:電流 \(I\) が大きいほど磁界は強く、距離 \(r\) が遠くなるほど磁界は弱くなります。分母に \(2\pi r\)(円周の長さ)が来ているのが特徴です!
磁界の強さ \(H\) の単位は [A/m](アンペア毎メートル) です。式を見ると、「電流 \(I\) [A] ÷ 長さ [m]」の形になっているので、単位も覚えやすいですね!
3. 円形電流がつくる磁界
次に、導線を輪っか(円形)にした場合にできる磁界を考えます。ここでは特に「円の中心」に注目します。
(1) 磁界の向き
ここでも「右ねじの法則」が使えます。円形電流の場合は、「4本の指を電流の向き」に合わせると、「親指の向き」が中心を通る磁界の向きになります(直線電流のときと役割を入れ替えると覚えやすいですよ!)。
(2) 中心の磁界の強さ \(H\)
半径 \(r\) [m] の円形導線の中心における磁界の強さ \(H\) [A/m] は次の通りです。
\(H = \frac{I}{2r}\)
よくある間違い:直線電流の式には \(\pi\) が入っていますが、円形電流の中心の式には \(\pi\) は入りません! 「円なのに \(\pi\) がないの?」と混乱しやすいので注意しましょう。
4. ソレノイドがつくる磁界
導線をびっしりと長く円筒状に巻いたものを「ソレノイド」と呼びます。コイルのことだと思ってOKです!
(1) 磁界の向き
円形電流と同じように、4本の指を電流の向きに合わせると、親指が示す方向がソレノイド内部の磁界の向きになります。
(2) 内部の磁界の強さ \(H\)
ソレノイドの内部(端の方を除いた中心付近)では、磁界はどこでも同じ強さで、向きも一定(一様な磁界)になります。
\(H = nI\)
※ \(n\):1mあたりの巻き数 [回/m]
公式の \(n\) は「全体の巻き数 \(N\)」ではなく、「1メートルあたりの巻き数」です。もし長さ \(L\) [m] で \(N\) 回巻いてあるなら、\(n = \frac{N}{L}\) と計算してから公式に入れましょう。
5. まとめと学習のコツ
この章で覚えるべき公式は、大きく分けて3つです!
- 直線電流: \(H = \frac{I}{2\pi r}\) (円周で割るイメージ)
- 円形電流(中心): \(H = \frac{I}{2r}\) (直径で割るイメージ)
- ソレノイド(内部): \(H = nI\) (巻き数に比例!)
豆知識:
この「電流が磁界をつくる」という発見は、1820年にデンマークのエルステッドという物理学者が、講義中に偶然発見したと言われています。それまで「電気」と「磁気」は別々の現象だと思われていたので、物理学の歴史を大きく変える大発見だったんです!
まずは「右手の形」を実際に作りながら、向きをマスターしましょう。公式の形が似ているので、図と一緒にセットで書いて練習するのが、暗記の近道ですよ。