ローン・キャピタル(借入資本)の世界へようこそ!
前回の学習では、企業が自社の「一部(株式)」を売却して資金を調達する方法について見てきました。しかし、所有権を手放さずに資金を集めたい場合はどうすればよいのでしょうか?そこで登場するのがローン・キャピタル(借入資本)です!これは企業がプロ向けに「借用証書(IOU)」を発行するようなものだと考えてください。このノートを読み終える頃には、企業がどのように資金を借り入れ、債権者を保護し、万が一の際に何が起こるのかが理解できるようになっているはずです。最初は少し専門的で難しく感じるかもしれませんが、大丈夫です。一つひとつ丁寧に紐解いていきましょう!
1. デベンチャー(社債)とは何か?
この章で最も重要な用語はデベンチャー(社債)です。簡単に言うと、デベンチャーとは企業が発行する債務の証拠となる文書のことです。企業がお金を借りたことを認め、利息を付けて返済することを約束するものです。
知っていましたか? 私たちはよく「デベンチャー」という言葉をローンそのものの意味で使いますが、法律上、それはローンが存在することを証明する紙の証書(または電子記録)を指します。
デベンチャーが発行される主な形態は3つあります。
- 単一社債(Single debenture): 特定の個人や銀行から行うシンプルな借入。
- 社債ストック(Debenture stock): 大きな借入を小さな単位に分割したもの(株式資本が株式に分割されるのと似ています)。
- 社債シリーズ(Series of debentures): 異なる時期に発行されるものの、通常は同一条件で発行される複数の社債。
重要ポイント
デベンチャーとは、企業が債務を負っていることを示し、返済条件を明記した「借金の領収書」のようなものです。
2. 株式と社債:その違いは?
学習者がよく混同しがちですが、これらは全く別物です!株主は「オーナー」、社債権者は「債権者」だと考えてください。
1. 所有権: 株主は会社のメンバーであり所有者です。社債権者は債権者(会社が返済義務を負う相手)です。
2. 収益: 株主は配当金を得ます(会社が利益を出した場合のみ)。社債権者は利息を得ます(会社が赤字であっても必ず支払わなければなりません!)。
3. 議決権: 通常、株主には議決権があります。社債権者には通常、議決権がありません。
4. 返済: 会社が解散(清算)する場合、社債権者は株主に先立って支払われます。株主は最後尾に並ぶことになります。
クイックレビュー: ローンの利息は債務(返済義務)であり、配当金は利益から出される分配(お裾分け)であることを覚えておきましょう。借金は必ず返さなければなりませんが、利益のお裾分けは「余剰資金」がある時だけ行われるものなのです!
3. セキュリティ(担保):債権者の保護
もしあなたが誰かに100万ポンドを貸すとしたら、返済されなかった時に差し押さえて売却できる「セキュリティ(担保)」が欲しいと思うでしょう。会社法において、この担保はチャージ(担保権)と呼ばれます。
A. 固定担保(Fixed Charge)
固定担保は、建物、大型機械、特定の特許権など、特定可能な資産に対して設定されます。
- 企業は債権者の許可なしに、この資産を売却することはできません。
- 家の住宅ローンに似ています。あなたがそこに住んでいても、ローンが完済されるまで銀行はその不動産に対して「権利(支配力)」を持っています。
B. 流動担保(Floating Charge)
流動担保はもっと柔軟です。棚卸資産、原材料、銀行預金など、常に変動する資産のグループ全体に対して「漂う(浮遊する)」ように設定されます。
- 企業は、通常の業務の範囲内であれば、これらのアイテムを自由に売却・補充することができます(スーパーマーケットが食パンを売るたびに銀行に許可を求めていたら大変ですよね!流動担保はそのような煩わしさを防ぎます)。
- 結晶化(Crystalization): これは流動担保が「浮遊を止め」、「固定担保に変化する」ことを指す専門用語です。これは、企業が営業を停止したり、清算手続きに入ったり、ローンの返済を怠ったりした場合に発生します。
覚え方:
固定(Fixed) = 堅い(Firm)(一つの特定の物に固定されている)。
流動(Floating) = 流動的(Fluid)(変化し続ける多くの物の周りを動いている)。
重要ポイント
固定担保は資産を勝手に売却できないため「強力」です。流動担保は企業が事業を継続しつつも債権者に担保を提供できるため「柔軟」です。
4. 登記と優先順位:誰が最初に支払われるのか?
ここは試験で非常によく出る分野です!会社がチャージ(担保権)を設定したときは、必ず会社登記官(Registrar of Companies)に届け出なければなりません。
21日ルール
ほとんどのチャージは、設定から21日以内にCompanies House(会社登記所)へ登録しなければなりません。
もし登録を忘れたらどうなるでしょうか?
- その担保権は、清算人や他の債権者に対して無効(Void)となります。つまり、債権者は「優先権」を失い、無担保債権者として列の後ろに回されてしまうのです!
- さらに、借り入れたお金は通常、即時返済を求められることになります。
優先順位のルール(「誰が勝つか」リスト)
会社に全員を支払う資金がない場合、以下のルールに従います:
1. 固定担保は通常、流動担保に優先します。
2. **2つの固定担保**の間では、通常、先に設定されたものが優先されます(両方が期日内に登録されている場合)。
3. **2つの流動担保**の間では、通常、先に設定されたものが優先されます。
4. ネガティブ・プレッジ条項(消極的担保条項): 流動担保に、企業が「優先順位の高い後発の固定担保を設定してはならない」という特別なルールが付けられることがあります。後発の債権者がこのルールを知っていれば、その流動担保が優先される可能性があります!
避けるべきよくあるミス: 優先順位が登録日で決まると勘違いしないでください。21日以内に登録されている限り、通常は設定日(Creation date)で決まります。
5. 借入権限と救済措置
会社には借入をする権利があるのでしょうか?
- 営利企業(trading companies)の場合、借入権限は黙示的に認められています。
- 通常は取締役が会社を代表してこの権限を行使します。
会社がデフォルト(返済不能)に陥ったら?
企業が利息やローンの返済を怠った場合、社債権者にはいくつかの選択肢があります:
- 訴訟: 会社を裁判所に訴え、返済を求める。
- 管理人の任命: 会社を再建または売却するために、管理人に経営権を委ねる。
- 資産の差し押さえ: 固定担保がある場合、その資産を回収し、売却して資金を取り戻す。
- 清算の申し立て: 裁判所に会社を完全に閉鎖するよう要請する。
まとめチェックリスト
次に進む前に、以下に答えられるか確認してください:
- デベンチャーを定義できますか?(債務の証拠)
- 21日ルールを知っていますか?(登録の期限)
- 結晶化(Crystalization)を説明できますか?(流動担保が固定担保に変わること)
- 紛争時に誰が最初に支払われるか知っていますか?(通常は固定担保が流動担保に優先する)
素晴らしい!これでローン・キャピタルの基本をマスターしました。この勢いで次の章も頑張りましょう!