会社設立の世界へようこそ!
こんにちは!今日は、会社がどのようにして「誕生」し、どのようなルールで運営されるのかを見ていきましょう。これは、ビジネスにおける「出生証明書」と「ハウスルール(社内規定)」のようなものだと考えてください。この章は、ACCA LWの学習において非常に重要なパートです。なぜなら、今後の会社法学習のすべての基礎となるからです。専門用語が多くて難しそうに見えるかもしれませんが、大丈夫です。一緒に少しずつ紐解いていきましょう!
1. 設立者(Promoter):会社の設計者
会社が存在するためには、誰かがアイデアを出し、投資家を見つけ、書類を作成する必要があります。この人物を設立者(Promoter)と呼びます。
設立者とは?
設立者とは、「会社の設立を企図し、その目的を達成するために必要な手続きをとる者」を指します。会社という建物が建つ前に、設計図を書き、建設業者を雇う「建築家」のような存在だとイメージしてください。注:弁護士や会計士など、専門家として通常の業務を行っているアドバイザーは、設立者には含まれません。
設立者の義務
設立者は強い立場にあるため、信認義務(Fiduciary Duties)を負います。これは法的な難しい表現ですが、簡単に言うと「誠実かつ正直に行動しなければならない」ということです。主なルールは以下の通りです。
• 秘密の利益(secret profit)を得てはなりません。もし自分の所有物を会社に売却する場合は、独立した取締役会や株主にその事実を伝えなければなりません。
• 相当の技能と注意をもって行動しなければなりません。
ルールを破った場合は?
もし設立者が秘密の利益を得た場合、会社は以下の行動をとることができます。
1. 契約の取り消し(Rescission)(契約を無効にして金銭を取り戻す)。
2. 損害賠償請求(Sue for damages)(損失をカバーするための賠償金を求める)。
3. 利益の返還(Recover the profit)(不正に得た利益を会社に引き渡させる)。
クイック復習: 設立者は、会社が生まれる前の「親」のような存在です。最大のタブーは、会社に隠れてこっそり儲けることです!
2. 設立前契約(Pre-Incorporation Contracts)
ここは試験でよく狙われる「ひっかけ」ポイントなので、注意深く読んでください!会社は設立証明書(Certificate of Incorporation)を取得するまで、法的に存在しません。では、設立者がその日より前に会社のために契約を結んだらどうなるのでしょうか?
黄金律(Golden Rule)
会社は、設立前に結ばれた契約に拘束されることはありません。なぜなら、まだ存在しない人物のために契約を結ぶことはできないからです!まだ生まれていない赤ちゃんの名前で家を買おうとするようなものです。
誰が責任を負うのか?(第51条)
2006年会社法第51条(Section 51 of the Companies Act 2006)に基づき、契約に署名した人物(設立者)が個人的に責任を負う(personally liable)ことになります。つまり、後から会社が「誕生」しても、その会社が契約を拒否すれば、設立者が支払いをしなければならないのです!
後から会社が契約を「追認」できるか?
できません。英国では、会社は設立前契約を追認(ratify)することはできません。もしその取引が必要なら、会社が正式に登記された後に、全く新しい契約を結ぶ必要があります(これを更改/ノベーションと呼びます)。
避けるべきよくある間違い: 学生はよく、会社が登記されると自動的に契約を引き継ぐと思っています。そんなことはありません! 新しい契約が結ばれない限り、設立者が責任を負い続けます。
3. 登記プロセス
会社を「誕生」させるには、Companies House(登記所)の登記官(Registrar of Companies)に特定の書類を送る必要があります。ステップごとのチェックリストを確認しましょう。
ステップ1:定款(Memorandum of Association)
現在は非常にシンプルな書類です。最初の株主(発起人)が署名する、「会社を設立する意思があり、少なくとも1株以上を引き受けることに合意する」という宣言書です。
ステップ2:フォームIN01(メインの申請書)
会社の「IDカード」にあたるものです。以下を含める必要があります。
• 商号(Proposed name)(不適切な名前や、既存の会社と類似しすぎていないこと)。
• 登録事務所(Registered office)の所在地(イングランドおよびウェールズ、スコットランド、北アイルランドのいずれか)。
• 株主の責任(Liability)が株式によるものか、保証によるものか。
• 公開会社か非公開会社か(LtdかPLCか)。
• 資本金ステートメント: 株式数と価値。
• 役員詳細: 取締役は誰か(PLCの場合は会社秘書役も)。
• コンプライアンス宣言: すべての法的要件を満たしていることの確認。
ステップ3:付属定款(Articles of Association)
これは「ルールブック」です。次のセクションで詳しく見ていきます。
設立証明書(Certificate of Incorporation)
登記官が審査を終えると、設立証明書が発行されます。これが会社の「出生証明書」です。その日から会社が法的に存在し、所有者とは別個の「法人(法律上の人)」となったことを証明します。
重要なポイント: 証明書がなければ会社ではありません。証明書に記載された日付が、法的な「誕生日」です。
4. 組織規定:付属定款(Articles of Association)
付属定款(Articles of Association)は、最も重要な内部文書です。会社の運営ルールが定められています。
どのような内容が含まれるか?
定款には、通常以下のルールが含まれます。
• 株式の発行方法。
• 会議(年次総会など)の運営方法。
• 取締役の選任・解任方法。
• 配当金の支払い方法。
モデル定款(Model Articles)
安心してください!ほとんどの会社は、ゼロからルールを書きません。政府がモデル定款を提供しています。会社が独自のルールを提出しない場合、このモデル定款が自動的に適用されます。スマホの「デフォルト設定」のようなものです。
法的効力(第33条)
定款は法定契約(statutory contract)として機能します。これは、以下の間を拘束する特別な種類の契約です。
1. 会社と株主間。
2. 株主と株主間。
3. 株主同士。
注:定款は、会社と外部者(サプライヤーなど)の間、あるいは取締役としての立場にある取締役を拘束するものではありません。
定款の変更
会社はいつでも定款を変更できます。そのためには、特別決議(Special Resolution)が必要です。つまり、株主の75%以上の賛成が必要となります。
知っていましたか? 75%が同意しても、株主に強制的に株式を買わせたり、違法なことをさせたりするように定款を変えることはできません。変更は、会社全体のためになるよう、「善意(bona fide)」で行われなければなりません。
5. まとめと暗記のコツ
設立者(Promoter): 秘密の利益を得てはならない「設計者」。
設立前(Pre-incorporation): まだ会社が生まれていないため、設立者が個人的責任を負う(第51条)。
フォームIN01: 登記のための「IDフォーム」。
定款(Articles): 株主と会社のための「ルールブック」。
75%: ルール変更に必要な魔法の数字(特別決議)。
最後に: カリキュラムの中でも特に技術的な部分をやり遂げましたね!「会社とは登記によって作られた独立した人格である」ということさえ覚えておけば、これからの法知識はもっと論理的につながっていきます。この調子で頑張りましょう、順調ですよ!