バリューチェーン分析へようこそ!

こんにちは!E3(戦略的管理)シラバスの中でも、非常に実践的で役立つ「戦略的選択(Making Strategic Choices)」のセクションへようこそ。企業がどこに向かうべきかを決定する前に、現在の自社がどのように価値を生み出しているのかを正確に理解する必要があります。

バリューチェーン分析とは、ビジネスを虫眼鏡でじっくりと観察するようなものだと考えてください。企業を単なる「一つの大きな塊」として見るのではなく、特定の活動に分解することで、どの部分が自社の強み(ヒーロー)となり、どの部分がコストを押し上げている無駄な要素なのかを見極めます。最初は少し難しく感じるかもしれませんが、大丈夫です。一つずつ丁寧に紐解いていきましょう!

バリューチェーンとは?

マイケル・ポーターによって提唱されたバリューチェーンは、企業が製品やサービスを設計、製造、販売、配送、そしてサポートするために行う一連の活動をモデル化したものです。

目的:価値(顧客が支払ってもよいと思う対価)が、それらの活動に要したすべてのコストを上回る製品を生み出すことです。この差額をマージン(利益)と呼びます。

成功の方程式:
\( \text{マージン} = \text{生み出された総価値} - \text{活動にかかった総コスト} \)

9つの活動

ポーターは、ビジネス活動を「主活動(Primary Activities)」と「支援活動(Support Activities)」の2つに分類しました。これらを「グルメピザレストラン」を例にして見ていきましょう。

1. 主活動

製品の創造と販売に直接関与する活動です。

外部物流(インバウンド物流):原材料の受け入れと保管。
例:供給業者から新鮮な小麦粉、トマト、チーズを受け取り、冷蔵庫に保管すること。

製造(オペレーション):投入物を最終製品へと変換するプロセス。
例:生地を伸ばし、トッピングを載せ、オーブンでピザを焼くこと。

内部物流(アウトバウンド物流):完成した製品を顧客に届けること。
例:配達ドライバーが焼きたてのピザを顧客の家に届けること。

マーケティングおよび販売:顧客に「買いたい」と思わせる活動。
例:Instagramにおいしそうな写真を投稿したり、「1枚買うともう1枚無料」のキャンペーンを行ったりすること。

サービス:販売後も製品の価値を維持すること。
例:ピザが冷めて届いた際のクレーム対応や、返金を行うこと。

2. 支援活動

製品を直接「製造」するわけではありませんが、これらがなければ主活動は成り立ちません。

調達:資源を購入するプロセス(資源そのものではありません)。
例:小麦粉の卸売業者と最良の価格を交渉すること。

技術開発:ノウハウや設備を使ってプロセスを改善すること。
例:新しい高速ピザ窯や、モバイル注文アプリを導入すること。

人的資源管理(HRM):スタッフの採用、研修、評価、報酬。
例:一流シェフを雇い、配達ドライバーに丁寧な接客を教育すること。

全般管理(インフラストラクチャー):ビジネスを支える「バックオフィス」システム。
例:経理、法務、経営管理全般。

クイック復習:主活動は製品の物理的な旅路であり、支援活動はその旅路を可能にする舞台裏の活動だと覚えておきましょう。

活動の連結(内部連鎖)

これはCIMAの試験で頻出のトピックです!バリューチェーンの各活動は独立しているわけではなく、相互に連結しています。一つの活動を改善すれば、他の活動にも影響が及びます。

例:技術開発によって追跡アプリが向上すれば、外部物流の効率が上がり、さらに「ピザはまだか」という問い合わせが減るため、サービスコストも下がります。

重要なポイント:戦略的な成功は、単一の活動を個別に改善するだけでなく、これらの連結(リンケージ)を競合他社よりも上手く管理することから生まれます。

バリューシステム(外部連鎖)

ビジネスは単独で存在しているわけではありません。自社のバリューチェーンは、供給業者や顧客のバリューチェーンとつながっています。このネットワーク全体をバリューシステムと呼びます。

ご存知でしたか?競争優位性を得るために、供給業者が彼ら自身のバリューチェーンを改善できるよう支援することもあります。供給業者が効率的になれば、自社への卸値を下げることができ、結果として自社のマージンが増加するのです!

戦略的選択におけるバリューチェーンの活用

E3のセクションDでは「戦略的選択」を扱います。では、この分析は戦略の選択にどう役立つのでしょうか?

1. コストリーダーシップ戦略:価値を損なわずにコストを削減できる領域をバリューチェーンで見つけます。例えば、外部物流を自動化して経費を削減できるでしょうか?

2. 差別化戦略:顧客が追加料金を払っても良いと思える独自の価値を加える領域を探します。例えば、技術開発を活用して、オンラインで顧客が「自分だけのピザ」をカスタマイズできるようにするのはどうでしょうか?

よくある間違い

間違い1:外部物流(インバウンド物流)と調達を混同すること。
訂正:外部物流は商品の取り扱い(箱の移動や保管)に関するもの。調達は商品の購買プロセス(契約交渉や供給業者選定)に関するものです。

間違い2:「インフラ」を「建物」のことだと考えること。
訂正:バリューチェーンにおけるインフラとは、チェーン全体を支える管理システム(財務、法務、品質計画など)を指します。

まとめと重要ポイント

- バリューチェーンは、企業を5つの主活動と4つの支援活動に分類します。
- マージンは、顧客が企業による活動に対してコスト以上の価値を感じたときに生まれます。
- リンケージ(連結)は成功の秘訣であり、活動間の調整こそが真の競争優位性を生み出します。
- バリューシステムは、自社を供給業者や販売業者とつなぐより大きな視点です。

最初はすべてのタスクを特定の活動に分類するのが難しく感じても大丈夫です。E3の試験において最も重要なのは、これらの活動がどのように連携して企業の戦略全体をサポートしているのかを理解することです!