S法人(S Corporation)へようこそ!

未来のCPAの皆さん、こんにちは!今日はS法人(S Corporation)について学びます。すでにC法人やパートナーシップについて学習済みであれば、S法人はその両方の「ハイブリッド」のような存在だと感じるでしょう。法人の法的保護を受けつつ、パートナーシップのような「パススルー(所得転送)」課税のメリットを享受できるのです。REG試験において非常に配点の高いトピックですので、シンプルに噛み砕いて解説していきます。最初はルールが多くて大変そうに見えるかもしれませんが、一つひとつ着実に進めれば大丈夫です!

1. S法人とは何か?(「選ばれたクラブ」)

S法人は、IRS(内国歳入庁)に対して特別な「税務ステータス」の適用を求めた通常の法人だと考えてください。法人が直接納税する(二重課税)のではなく、所得が株主に「パススルー」され、株主が個人の確定申告で報告する仕組みです。

適格要件

S法人になるには厳しいルールがあります。私はこれを「100人の市民と1種類の株式」ルールと呼んでいます:
株主数の制限: 100人以下であること。(注:配偶者、親、子などの家族は1人の株主としてカウントされます!)
適格株主: 個人、遺産(エステート)、特定の信託のみ。重要: 法人やパートナーシップは株主になれません。
居住要件: 株主は米国市民または居住者である必要があります(非居住外国人は不可)。
株式のクラス: 議決権の有無などの違いはあっても構いませんが、分配権と清算権は全員平等でなければなりません。

届出(フォーム2553)

S法人になるには、全株主の同意が必要です。
期限のルール: 今年度から適用させたい場合は、3月15日まで(暦年課税の場合)に届け出る必要があります。3月16日以降に提出すると、その年はC法人のままとなり、S法人としてのステータスは翌年からとなります。

クイックレビュー: S法人になるには、100人以下の「人間」である米国株主が必要で、株式は1種類のみ。今年度から適用するには、3月15日までに全員が同意しなければなりません。

2. S法人の運営:所得のパススルー

パートナーシップと同様に、S法人はパススルー事業体です。情報申告書(フォーム1120-S)を提出し、各株主にSchedule K-1を発行します。

通常所得 vs. 個別に申告する項目(Separately Stated Items)

スーツケースを想像してください。一部の項目(通常の事業所得など)はメインのコンパートメントに入れられます。一方で、寄付金や資本利得のように、個人の確定申告で異なる扱いを受ける項目は、特別なサイドポケットに入れる必要があります。

通常事業所得: 売上から通常の営業費用(家賃、光熱費、給与など)を差し引いたもの。
個別に申告する項目: 株主個人の税務状況によって扱いが変わる可能性がある項目です。具体的には:
• 不動産所得/損失
• 利子および配当所得
• 資本利得および損失
• セクション179の控除
• 寄付金

よくある間違い: 株主は、S法人の通常所得の持分に対して自営業税を支払う必要はありません。これはパートナーシップとの大きな違いです!ただし、株主が同時に従業員である場合は「適正な給与」を受け取る必要があり、その給与には給与税(Payroll Tax)が課されます。

重要なポイント: 所得は、1株・1日あたりの持分比率に基づいて株主に分配されます。1年間を通じて株式の50%を所有していれば、利益の50%が分配されます。

3. ベーシス(Basis)の「黄金律」

ベーシスはREG試験で最も重要な概念の一つです。会社にいくらの「税引後」の資金が投じられているかを追跡するもので、損失の控除限度額や、税金なしで引き出せる金額を決定します。

株主のベーシスの計算(計算式)

\( \text{初期ベーシス} \)
\( + \text{追加拠出額} \)
\( + \text{全所得の持分(課税・非課税問わず)} \)
\( - \text{株主への分配} \)
\( - \text{非損金算入費用の持分} \)
\( - \text{損失の持分} \)
\( = \text{期末ベーシス} \)

豆知識: 非課税所得(生命保険の保険金など)はベーシスを増加させます。税金はかかりませんが、会社への「投資額」を増やすことになります!

債務ベーシスのルール(試験に必須!)

パートナーシップでは、会社の債務の持分がベーシスに含まれます。しかしS法人では含まれません。
株主が「債務ベーシス」を得られるのは、会社に直接お金を貸し付けた場合のみです。銀行がS法人にお金を貸した場合、株主が個人保証をしていても、株主のベーシスはゼロのまま増えません

覚え方: 「S」は「S Corp」と「Self-Lent(自分で貸す)」のS!自分でお金を貸さない限り、債務ベーシスは増えないと覚えておきましょう。

4. 分配:現金はいつ課税されるか?

これは、そのS法人が「最初からS法人だったか」、それとも「以前はC法人だったか」によって異なります。

ケースA:S法人に「累積利益剰余金(AEP)」がない場合(常にS法人)

1. 分配金は、株式ベーシスの範囲内であれば非課税(資本の払い戻し)です。
2. ベーシスを超える分配金は資本利得(Capital Gain)として課税されます。

ケースB:S法人に「累積利益剰余金(AEP)」がある場合(元C法人)

C法人がS法人になると、「古い荷物」(利益剰余金)を引き継ぎます。以下の順序で処理します(「ケーキの層」をイメージしてください):
1. AAA(累積調整勘定): まだ分配されていないS法人の利益。非課税。
2. AEP(累積利益剰余金): 昔のC法人の利益。配当として課税。
3. 株式ベーシスの払い戻し: 非課税。
4. 超過分: 資本利得。

クイックレビュー: 最初からS法人なら簡単:ベーシス内は非課税、超えたら資本利得。C法人だった場合は、まず「AAA」を探しましょう!

5. S法人ステータスの終了

この「選ばれたクラブ」の会員資格はどう終わるのでしょうか?以下の3つの方法があります:

1. 自発的取り消し: 発行済株式の50%超を保有する株主が合意して辞める。
2. 適格要件の喪失: 例えば、誤って法人や101人目の株主に株式を売却してしまった場合。その日をもって直ちに終了します。
3. 受動的所得のペナルティ: S法人にC法人の古いAEPがあり、かつ総収入の25%超が3年連続で受動的所得(利子・配当など)である場合、4年目の初日にステータスを失います。

待機期間: 一度ステータスが終了すると、IRSの特別な許可がない限り、5年間は再度のS法人化ができません。

まとめ: S法人は二重課税を避けるための強力な手段です。100人の株主制限、直接貸付のみが債務ベーシスになるルール、分配時の「AAAが先、AEPが後」のルールを覚えておけば、REG試験のこのセクションはバッチリです!自信を持って挑んでください!