電気回路:回路の基本ルールと抵抗の性質
「電気回路」の章へようこそ!ここでは、私たちの生活に欠かせない電気が、回路の中でどのように振る舞うかを学びます。一見すると複雑な回路図も、いくつかの基本的なルールさえ押さえれば、パズルのようにスッキリ解けるようになります。最初は難しく感じるかもしれませんが、一歩ずつ進めていきましょう!
※この章を学習する前に、物理基礎で学んだ「オームの法則 \(V = IR\)」や「抵抗の直列・並列接続」を思い出しておくと、よりスムーズに理解できますよ。
1. 抵抗率と温度変化
物質の電気の通しにくさを表す抵抗 \)R\) は、物質の形や種類によって決まります。
抵抗の決まり方
導線の長さを \(l\)、断面積を \(S\) とすると、抵抗 \(R\) は次の式で表されます。
\(R = \rho \frac{l}{S}\)
ここで、比例定数 \(\rho\)(ロー)を抵抗率と呼びます。抵抗率は物質の種類によって決まる値です。
温度による抵抗の変化
実は、多くの金属では温度が上がると抵抗(抵抗率)が大きくなります。これは、温度が上がると金属内部の陽イオンの熱運動が激しくなり、流れる電子の邪魔をするからです。
温度 \(t\) [\({}^\circ\mathrm{C}\)] における抵抗率 \(\rho_t\) は、\(0^\circ\mathrm{C}\) のときの抵抗率 \(\rho_0\) と温度係数 \(\alpha\) を用いて次のように表されます。
\(\rho_t = \rho_0 (1 + \alpha t)\)
ポイント
・長さ \(l\) に比例し、断面積 \(S\) に反比例する。(長いほど通りにくく、太いほど通りやすい!)
・金属は温度が高くなると、抵抗が大きくなる。
よくある間違い
「温度が上がると抵抗は小さくなる」と勘違いしがちですが、それは一部の半導体や電解液の話です。共通テストでよく問われる金属については「温度アップ = 抵抗アップ」と覚えましょう!
2. 電池の内部抵抗
理想的な電池は常に一定の電圧 \(E\)(起電力)を出力しますが、実際の電池には、電池自身の中にわずかな抵抗があります。これを内部抵抗といいます。
端子電圧
電池の起電力を \(E\)、内部抵抗を \(r\)、流れる電流を \(I\) とすると、電池の両端の電圧(端子電圧)\(V\) は次のように下がってしまいます。
\(V = E - rI\)
電流をたくさん流そうとすればするほど、内部抵抗での電圧降下 \(rI\) が大きくなるため、実際に使える電圧 \(V\) は小さくなってしまいます。
豆知識
使い古した乾電池でライトが暗くなるのは、この内部抵抗 \(r\) が大きくなってしまい、端子電圧 \(V\) が十分に取れなくなることが主な原因の一つです。
3. 回路の基本法則(キルヒホッフの法則)
複雑な回路を解くための最強の武器が、キルヒホッフの法則です。
第1法則:電流についての法則
回路の分岐点において、「流れ込む電流の和」と「流れ出す電流の和」は等しい。
(例:\(I_1 = I_2 + I_3\))
これは「電荷が途中で消えたり増えたりしない」という電荷守備則を表しています。
第2法則:電圧についての法則
回路の中の任意の閉回路(一周まわる経路)において、「起電力の和」と「電圧降下の和」は等しい。
(または、一周ぐるっと回って元の場所に戻ると、電位の変化の合計は \(0\) になる)
これは「静電気力による位置エネルギー(電位)の一貫性」を表しています。
ポイント:キルヒホッフ第2法則の立て方
1. 各枝に流れる電流の向きを適当に決める(\(I_1, I_2 \dots\))。
2. 一周する経路を決める。
3. 電池のマイナスからプラスへ通ったら \(+E\)、逆なら \(-E\)。
4. 電流と同じ向きに抵抗を通ったら \(-RI\)、逆なら \(+RI\)。
5. これらを合計して \(= 0\) と置く。
4. 半導体(ごく簡単に)
電気を通す「導体」と、通さない「絶縁体」の中間の性質を持つ物質を半導体といいます。
・n型半導体:自由電子が電気を運ぶ。
・p型半導体:正孔(ホール)が電気を運ぶ。
これらを組み合わせた「ダイオード」は、電流を一方通行にする性質(整流作用)を持っています。共通テストでは、ダイオードを含む回路の電流の向きに注意しましょう。
ポイント
半導体は、金属とは逆に「温度が上がると抵抗が小さくなる」という性質を持つものが多いです。金属との違いとして覚えておくと役立ちます!
5. 電気計測の工夫
回路の電圧や電流を正確に測るためには、測定器の影響を考える必要があります。
電流計と電圧計
・電流計:測りたい場所に直列につなぐ。回路に影響を与えないよう、内部抵抗は非常に小さいのが理想。
・電圧計:測りたい場所に並列につなぐ。回路の電流を奪わないよう、内部抵抗は非常に大きいのが理想。
ホイートストンブリッジ
4つの抵抗をひし形につなぎ、真ん中に検流計を置いた回路です。検流計に電流が流れない(平衡状態)とき、向かい合う抵抗の積が等しくなります。
\(R_1 R_4 = R_2 R_3\)
これを利用すると、未知の抵抗値を精密に測定できます。
今回のまとめ
1. 抵抗 \(R\) は長さに比例し、断面積に反比例する。金属は温度が上がると \(R\) も上がる!
2. 実際の電池には内部抵抗 \(r\) があり、電流を流すと電圧が下がる(\(V = E - rI\))。
3. 複雑な回路はキルヒホッフの法則で攻める。電流の出入りと、一周の電圧変化に注目!
4. 半導体(ダイオード)には電流を一方にしか流さない性質がある。
「電気回路」は、公式を覚えるだけでなく、自分で回路図に電流の矢印を書き込み、電位の上がり下がりをイメージすることが上達の近道です。まずは教科書の例題から、キルヒホッフの式を自分で立てる練習をしてみましょう。応援しています!