【物理】電気と磁気:電磁誘導と交流

こんにちは!この章では、私たちの生活を支える電気の仕組み、「電磁誘導」「交流」について学んでいきます。発電所で作られる電気のほとんどは、この仕組みを利用しています。
最初は数式や向きの関係が難しく感じるかもしれませんが、根本にあるのは「変化を嫌う」というシンプルな性質です。一歩ずつ、一緒に攻略していきましょう!

1. 電磁誘導の法則

磁界が変化することで電圧が発生する現象を電磁誘導といい、その時に発生する電圧を誘導起電力といいます。

① 磁束(じそく)

磁界の強さを表すために、磁力線の束を考えます。これを磁束 \(\Phi\)(ファイ)と呼びます。
磁束密度を \(B\) [T]、面積を \(S\) [\(\text{m}^2\)] とすると、磁界に垂直な面を貫く磁束は次のように表せます。
\( \Phi = BS \) [Wb] (ウェーバ)

② レンツの法則(向きのルール)

誘導起電力の向きを決めるのがレンツの法則です。
「コイルは磁束の変化を妨げる向きに、磁界をつくろうとする」
という性質があります。磁石が近づいてきたら押し戻そうとし、遠ざかったら引き止めようとする、「あまのじゃく」な性質だと覚えると分かりやすいですよ!

③ ファラデーの電磁誘導の法則(大きさのルール)

誘導起電力 \(V\) の大きさは、磁束の変化が速いほど大きくなります。
巻数 \(N\) 回のコイルにおいて:
\( V = -N \frac{\Delta \Phi}{\Delta t} \)
ここで「\(-\)」の符号は、変化を妨げる向き(レンツの法則)であることを示しています。

【ポイント】
共通テストでは計算だけでなく、「磁石を近づけたときに電流がどちらに流れるか?」という図の選択問題がよく出ます。必ず「磁束の変化を打ち消す向き」を考える癖をつけましょう。

【豆知識】
IHクッキングヒーターも電磁誘導を利用しています。コイルから出る磁力線が鍋の底に渦電流(電磁誘導による電流)を発生させ、その抵抗熱で加熱しているんですよ。

2. 磁界中を動く導体棒

磁界の中で導体棒(金属の棒)を動かすと、棒の中に誘導起電力が発生します。これは、棒の中にある電子が磁界からローレンツ力を受けるためです。

磁束密度 \(B\) の一様な磁界中で、長さ \(l\) の導体棒を速度 \(v\) で垂直に動かすとき:
\( V = vBl \)

【よくある間違い】
速度 \(v\)、磁界 \(B\)、棒の長さ \(l\) がそれぞれお互いに垂直であるときにこの式が使えます。斜めに動いている場合は、垂直な成分だけを取り出して考える必要があります。

3. 自己誘導と相互誘導

コイルそのものや、隣り合ったコイルの間でも電磁誘導は起こります。

① 自己誘導

コイルに流れる電流が変化すると、コイル自身が作る磁束が変化し、その変化を妨げる向きに起電力が発生します。
\( V = -L \frac{\Delta I}{\Delta t} \)
\(L\) は自己インダクタンス(単位:H ヘンリー)と呼ばれ、コイルの性能を表します。

② 相互誘導

2つのコイル(1次コイルと2次コイル)を近づけ、片方の電流を変化させると、もう一方に起電力が発生します。
\( V_2 = -M \frac{\Delta I_1}{\Delta t} \)
\(M\) は相互インダクタンスと呼ばれます。これを利用した代表的な装置が変圧器です。

【ポイント:変圧器】
理想的な変圧器では、巻数比と電圧比が比例します。
\( \frac{V_1}{V_2} = \frac{N_1}{N_2} \)
電圧を上げたいときは、2次コイルの巻数を増やせばいいということですね!

4. 交流の発生と性質

一様な磁界の中でコイルを一定の速さで回転させると、磁束が周期的に変化し、波のような電圧が発生します。これが交流です。

① 交流電圧の式

最大電圧を \(V_0\)、角周波数を \(\omega\) とすると:
\( V = V_0 \sin \omega t \)

② 実効値(じっこうち)

交流は値が常に変化するため、そのままだと扱いづらいです。そこで、「同じ電圧の直流と同じだけの仕事をするとき」の値を実効値と呼びます。
家庭用コンセントの「100V」というのは、実はこの実効値のことです。
\( V_e = \frac{V_0}{\sqrt{2}} \approx 0.707 V_0 \)
\( I_e = \frac{I_0}{\sqrt{2}} \approx 0.707 I_0 \)

【よくある間違い】
「最大値」と「実効値」を混同しないように注意!問題文で「100Vの交流」と書かれていたら、それは実効値 \(V_e\) を指しています。最大電圧 \(V_0\) はその \(\sqrt{2}\) 倍、つまり約141Vになります。

③ 交流回路の基本的な性質

共通テストでは、抵抗、コイル、コンデンサーの性質を軽く押さえておきましょう。

  • 抵抗:電圧と電流の位相(タイミング)が一致します。
  • コイル:電流の変化を邪魔するため、電流の位相が電圧より遅れます(\(\frac{\pi}{2}\)遅れる)。
  • コンデンサー:充電が終わるまで電流が流れるため、電流の位相が電圧より進みます(\(\frac{\pi}{2}\)進む)。
「コイルは遅れる、コンデンサーは進む」とリズムで覚えてしまいましょう!

5. 電気振動と電磁波

コンデンサーとコイルをつないだ回路では、エネルギーが行ったり来たりする電気振動が起こります。このとき、周囲の空間に電界と磁界の変化が波として伝わっていくのが電磁波です。

【ポイント】
電磁波は横波であり、真空中の速さは光速と同じです。波長の長い順に、電波、赤外線、可視光線、紫外線、X線…と並んでいることを覚えておきましょう。


最初は「右ねじの法則」や「フレミングの左手の法則」など、手の形が色々出てきて混乱するかもしれません。しかし、電磁誘導の核心は「変化に対する抵抗」です。まずはこのイメージを大切に、基本問題を繰り返し解いて慣れていきましょう!大丈夫、練習すれば必ず見えるようになりますよ。応援しています!