資産収益率の統計的尺度へようこそ!
未来のチャーターホルダーの皆さん、ようこそ!これまで株価のデータを見て、その数字の多さに圧倒されたことはありませんか?もしそうなら、ここが最適な場所です。この章では、データを単に眺める段階から、データを要約する段階へと進みます。これらの統計的尺度は、毎日すべての価格変動をチェックしなくても投資のストーリーを教えてくれる「近道」のようなものだと考えてください。ここでは、データ(収益率)の「中心」を測る方法と、そのデータがどれくらい「揺れ動く(ばらつく)」のか、つまりリスクを測る方法を学びます。
数学があまり得意でなくても心配はいりません。すべての公式を分かりやすい言葉に分解し、実際の事例をたくさん使って、しっかり理解できるようにサポートします!
1. 中心傾向の尺度:データの中間を探る
「この株はどのような収益をもたらしたのか?」と聞かれたとき、私たちは通常、グループ全体を代表する一つの数字を探しています。これが中心傾向です。
算術平均(単純平均)
これは学校で習う平均です。すべてを合計し、データの個数で割ります。CFAの世界では、単一期間の期待収益率を推定するためにこれを使用します。
公式: \( \bar{X} = \frac{\sum X_i}{n} \)
クイック例: ある株が3年間で10%、-5%、15%の収益を上げた場合、算術平均は: \( (10 - 5 + 15) / 3 = 6.67\% \) となります。
幾何平均(複利成長率)
お金は複利で増えるため、金融においてはこれが非常に重要です。幾何平均(RG)は、利益を再投資した場合の「典型的な」年率収益率を示します。幾何平均は、常に算術平均以下になります。
公式: \( RG = [ (1+R_1) \times (1+R_2) \times ... \times (1+R_n) ]^{1/n} - 1 \)
たとえ話: 100ドル持っているとします。100%増えて(200ドルになり)、その後50%下がった(100ドルに戻った)とします。
算術平均: \( (100\% - 50\%) / 2 = 25\% \)。(良さそうに聞こえますが、実際には利益はゼロです!)
幾何平均: \( [ (1+1.0) \times (1-0.5) ]^{1/2} - 1 = [ 2.0 \times 0.5 ]^{0.5} - 1 = 0\% \)。(これで実際には利益が出ていないことが正確に示されます。)
調和平均(コスト平均法など)
これは、一定の金額を継続的に投資する際(ドルコスト平均法)の平均購入単価を求める際に使用します。
公式: \( \bar{X}_H = \frac{n}{\sum (1/X_i)} \)
重要ポイント: 異なる数値の集合において、常に 算術平均 > 幾何平均 > 調和平均 の関係が成り立ちます。
中央値と最頻値
- 中央値(メディアン): データを小さい順に並べたとき、ちょうど真ん中にくる値。データ数が偶数の場合は、真ん中の2つの値の平均をとります。
- 最頻値(モード): 最も頻繁に現れる値。分布には最頻値が一つしかない場合も、二つある場合(二峰性)も、まったくない場合もあります。
クイック復習: 過去のパフォーマンスを示すにはどの平均を使うべき? 幾何平均です。では、来年の収益率を予測するには? 算術平均です。
2. 散布度:データの「揺れ(リスク)」を測る
平均収益率を知るだけでは半分しか理解できていません。収益率が平均からどれだけ乖離しているかを知る必要もあります。金融において、散布度はリスクを意味します。
レンジ(範囲)
最もシンプルな尺度です。最大値から最小値を引くだけです。
例: 株の最高収益率が20%、最低が-10%なら、レンジは \( 20 - (-10) = 30\% \) です。
分散と標準偏差
これらはCFA試験における「大物」です。データが平均からどれだけ離れているかを測定します。
分散 (\( \sigma^2 \)): 平均からの偏差を2乗した値の平均です。負の偏差が正の偏差を打ち消さないようにするために2乗します。
標準偏差 (\( \sigma \)): 分散の平方根です。収益率と同じ単位(パーセント)になるため、議論しやすく、よく使われます。
標準偏差を求めるステップ:
- 算術平均を計算する。
- 各データから平均を引く(これが「偏差」)。
- 各偏差を2乗する。
- それらを合計する。
- \( n \) (母集団の場合)または \( n-1 \) (サンプルの場合)で割る。
- 平方根をとる。
よくある間違い: サンプルの場合に \( n-1 \) で割るのを忘れること!試験で「サンプル(標本)」という言葉が出たら、必ず \( n-1 \) で割ってください。「母集団全体」であれば \( n \) で割ります。
下方偏差(ターゲット下方偏差)
標準偏差は、「良い」サプライズ(大きなプラス)と「悪い」サプライズ(大きなマイナス)を同じように扱います。下方偏差は、特定の目標や「ハードルレート」を下回る収益率のみに着目します。これは、損失のリスクのみを気にする投資家にとって非常に有用です。
重要ポイント: 標準偏差が高い = ボラティリティが高い = リスクが高い。
3. 相対的散布度:変動係数(CV)
収益率20%でリスク10%の株と、収益率5%でリスク2%の株をどう比較すればよいでしょうか?そこでCVを使います。
公式: \( CV = \frac{Standard Deviation}{Mean} \)
CVは「収益率1%を得るためにどれだけのリスクを負っているか?」を教えてくれます。
低いほど良い! 同じリスク単位に対して、より多くの収益が得られていることを意味します。
4. 分布の形状:歪度と尖度
すべての収益データが完璧な「ベルカーブ(正規分布)」を描くわけではありません。歪んでいたり、「厚い裾(ファットテール)」を持っていたりすることもあります。
歪度(データの傾き)
歪度は分布の対称性を表します。グラフの裾(テール)に注目してください。
- 対称: 平均 = 中央値 = 最頻値。
- 正の歪み(右に歪んでいる): 裾が右側に伸びています。頻繁な小さな損失と、時折現れる巨大な利益があります。(平均 > 中央値 > 最頻値)。
- 負の歪み(左に歪んでいる): 裾が左側に伸びています。頻繁な小さな利益と、時折現れる巨大な損失があります。(平均 < 中央値 < 最頻値)。
記憶のコツ: 「裾(テール)が物語を語る」。裾が右(正の数)を向いていれば、正の歪みです。
尖度(分布の尖り具合)
尖度は分布の「ピーク」と「裾」について教えてくれます。金融では、正規分布が予測する以上に極端な出来事(市場の暴落など)が起こることを示す「厚い裾」を警戒します。
- 急峻(レプトクティック): ピークが高く、裾が「厚い」。(Lepto = Leaps up!:跳ね上がる)。金融市場では一般的です。
- 緩慢(プラティクティック): 裾が薄く平ら。(Platy = Plate:皿のように平ら)。
- 正規(メソクティック): 正規分布(超過尖度 = 0)。
知っていましたか? ほとんどの金融資産は急峻(レプトクティック)です。これは、「ブラックスワン」イベント(極端な外れ値)が単純な統計予測よりも頻繁に発生することを意味します!
最終まとめ:クイックチェック
1. 過去の成長を見るのに最適な平均は? 幾何平均。
2. 標準偏差が高いことは何を意味する? 高リスク/高ボラティリティ。
3. CVは何を測る? 収益率単位あたりのリスク。
4. 「正の歪み」はどんな形? 右に長く伸びる裾を持つ。
5. 急峻(レプトクティック)な分布とは? 裾が厚く、ピークが高いもの。
あなたなら大丈夫です!これらの尺度は、ポートフォリオ管理や株式分析において私たちが行うすべての基礎となります。この基本をマスターすれば、カリキュラムの残りの部分がもっと直感的に感じられるようになるはずです。