PMP試験の計算問題:最新ECOに基づく出題傾向と対策の要点

現行のPMP試験(Examination Content Outline: ECO)は全180問で構成され、その内訳はプロセス領域が50%人領域が42%ビジネス環境領域が8%となっています。この中で、予測型(ウォーターフォール)およびハイブリッド型プロジェクト管理の知識を試すプロセス領域において、計算公式を用いた分析問題は合否を分ける重要分野です。

近年の試験では、単に数字を公式に当てはめる単純計算よりも、「計算結果の数値を踏まえてプロジェクトマネージャー(PM)が次に取るべき適切なアクションは何か」を問う状況判断問題(シチュエーション問題)が主流となっています。本ガイドでは、試験本番で即座にアウトプットできるように、EVM(アーンド・バリュー・マネジメント)、PERT、クリティカルパス、コミュニケーション経路の全公式と、その実践的な解釈基準をまとめました。

アーンド・バリュー・マネジメント(EVM)必須公式チートシート

EVMはPMP試験における最重要計算分野です。プロジェクトの進捗(スケジュール)とコスト効率を客観的に評価するための指標を正確に整理しておきましょう。

1. 基本数値(インプットデータ)

PV(Planed Value / 計画価値):特定時点までに完了する予定だった作業の予算
EV(Earned Value / 獲得価値):特定時点までに実際に完了した作業の価値(予算ベース)
AC(Actual Cost / 実コスト):特定時点までに完了した作業に実際に費やした総費用
BAC(Budget at Completion / 完成時総予算):プロジェクト全体の初期承認予算

2. 差異分析(Variance Analysis)

差異分析は「引き算」であり、結果が正(プラス)なら良好、負(マイナス)なら課題ありと判定します。

・コスト差異:\(CV = EV - AC\)(\(CV > 0\):予算内・良好、\(CV < 0\):コスト超過)
・スケジュール差異:\(SV = EV - PV\)(\(SV > 0\):進捗前倒し・良好、\(SV < 0\):進捗遅延)

3. 効率指数(Performance Indices)

効率指数は「割り算」であり、1.0を基準として評価します。\(1.0\)より大きければ効率的、\(1.0\)未満であれば非効率です。

・コスト効率指数:\(CPI = \frac{EV}{AC}\)(\(CPI > 1.0\):コスト効率良好、\(CPI < 1.0\):コスト非効率)
・スケジュール効率指数:\(SPI = \frac{EV}{PV}\)(\(SPI > 1.0\):スケジュール進捗良好、\(SPI < 1.0\):進捗遅延)

4. 将来予測(Forecasting)

現時点のパフォーマンスが今後も継続すると仮定した場合の完成時予測です。

・完成時総コスト予測:\(EAC = \frac{BAC}{CPI}\)
・残作業コスト予測:\(ETC = EAC - AC\)
・残余作業効率指数:\(TCPI = \frac{BAC - EV}{BAC - AC}\)(当初予算BACを維持する場合)

状況判断の早見マトリクス

試験で「\(CPI = 0.85\) かつ \(SPI = 1.15\) の場合、プロジェクトはどのような状態か」と問われたら、以下のように即断します。
・\(CPI < 1.0\) かつ \(SPI > 1.0\) → 「進捗は前倒しだが、コストは超過している」(例:人を過剰投入して納期を短縮した状態)
・\(CPI > 1.0\) かつ \(SPI < 1.0\) → 「予算は余っているが、進捗は遅延している」
PMのアクションとしては、前者の場合はコスト抑制策(リソースの適正化など)の検討、後者の場合はスケジュールの短縮策(クラッシングやファスト・トラッキング)の検討が正解の選択肢となります。

3点見積もり(PERT)と標準偏差

見積もりの不確実性を管理するために用いられるベータ分布(PERT)の公式です。加重平均とバラつき度合い(標準偏差)の計算は確実に得点源にしましょう。

最頻値(\(M\)):最も現実的な見積もり
楽観値(\(O\)):最良のシナリオにおける見積もり
悲観値(\(P\)):最悪のシナリオにおける見積もり

期待値(PERTベータ分布):\(E = \frac{O + 4M + P}{6}\)
標準偏差(活動のバラつき):\(\sigma = \frac{P - O}{6}\)

※三角分布を指定された場合は \(E = \frac{O + M + P}{3}\) となりますが、問題文に特段の指定がない場合はベータ分布を適用するのがPMP試験の標準です。

クリティカルパス法(CPM)とフロート計算

アクティビティ・ノード図(プレシデンス・ダイアグラム法)における経路特定と余裕時間(フロート)の計算です。

トータルフロート(全余裕日数):プロジェクト全体の納期を遅らせることなく、そのアクティビティを遅延させることができる日数。
\(Total\ Float = LS - ES\) または \(Total\ Float = LF - EF\)
(\(ES\):早い開始日、\(EF\):早い終了日、\(LS\):遅い開始日、\(LF\):遅い終了日)
クリティカルパスのフロート:クリティカルパス上のアクティビティのトータルフロートは原則として\(0\)です。

コミュニケーション・チャネル(通信経路数)

ステークホルダー間の情報伝達経路の数を算出する公式です。チームメンバーが増加した際のリスク管理やコミュニケーション計画の設問で頻出します。

\(Potential\ Communication\ Channels = \frac{n(n - 1)}{2}\)
(\(n\):ステークホルダーの総人数)

試験頻出の引っかけパターン:「プロジェクトチームが5人から8人に増えた場合、追加されたコミュニケーション経路数はいくつか」という問いでは、\(n = 8\) の値(\(28\))から \(n = 5\) の値(\(10\))を引いた \(18\) が正解となります。総数ではなく「増分」を問われているかどうかに注意してください。

状況判断問題でスコアを伸ばすための学習アプローチ

PMPの計算問題で安定して正答率を上げるためには、単に公式を書き出す練習だけでなく、数値からプロジェクトリスクを読み取るシナリオ演習が不可欠です。各種プロフェッショナル試験の効率的な学習戦略でも解説している通り、アクティブリコールと分散学習を取り入れることで、試験本番のプレッシャー下でも公式を即座に引き出せるようになります。

計算公式の定着と状況判断力を高めるには、AI問題演習プラットフォームを活用して、多様なシチュエーション問題を繰り返し解くことが近道です。自身の苦手な計算パターンをAIが分析し、最適な復習タイミングで出題してくれるため、短時間で得点力を強化できます。Thinkaのスマート学習システムを活用し、計算問題を確実な得点源にしてPMP一発合格を目指しましょう。