N4 文章の文法:筆者の論理を追う

N4の「文章の文法」(全4問)は、N5の短い日記文とN3の論説文の中間に位置するセクションです。学生の作文、手紙、簡単な説明文といったまとまった文章の中で、接続詞、指示語、そして文章の流れから導き出される文法項目を穴埋め形式で問う問題です。N4からは、より洗練された接続詞(それに、それで、それでも…)、文章中に組み込まれる伝聞や様態の表現、そして次の文の内容によって語尾の活用が決定される問題などが出題されます。本章では、これら3つのポイントを押さえて読解力を高めます。

1. N4の接続詞セット

接続詞役割
それにその上(付加)この店は安い。それに、おいしい。
それでだから(結果・原因)かぜをひきました。それで、休みました。
だからそのため(強い結果・主張)明日は試験だ。だから、今夜は勉強する。
それでもそれにもかかわらず(逆接・あえて)雨だった。それでも、試合は続いた。
しかし/でもけれども(転換・逆接)行きたかった。しかし、時間がなかった。
そして/それからそして(順序)手を洗った。そして、ご飯を食べた。
またさらに(形式的な付加)この町は静かだ。また、店も多い。
例えば例示果物が好きだ。例えば、りんごやみかんだ。
ところで話題転換ところで、来週の予定はどうですか。
するとすると(直後の出来事)ドアを開けた。すると、猫が入ってきた。

正解を導く方法(N5から共通ですが、より鋭い判断が求められます):空所の前後の文を読み、その関係を分類します。追加か?(それに/また)、結果か?(それで/だから)、転換か?(でも/しかし)、あえて継続か?(それでも)、例示か?(例えば)、驚きを伴う順序か?(すると)。N4で注意すべきニュアンスの対比:「それで」と「だから」(「それで」は客観的な結果の報告、「だから」は理由の主張)、および「それでも」と「でも」(「それでも」は、前の事実があっても、それに屈せず次が起こる場合に使う)。

2. 指示語と見えないトピック(N4復習)

  • 「そ」系列の指示語は、直前に出た内容を指す:先週、京都へ行きました。そのとき、初めて金閣寺を見ました。
  • 空所には、どれが適当かを問うものが出る:それ(事柄) vs そこ(場所) vs その人(人物) — 先行詞のカテゴリーと一致させること。
  • 「は」が文を支配するルール:筆者の話題が「私」から「兄」に切り替わった場合、それ以降の主語のない動詞は、次に指示があるまで「兄」の動作となります。N4の読解文では、意図的に2回程度視点が切り替わります。

3. 文脈で決まる文法(空所補充)

N4の特徴:前後の文脈によって、空所の正しい「形」が決定される問題です。

  • 伝聞の報告:他人の話を引用する場合、〜そうです/〜と言っていましたを使う:天気予報によると、明日は雨が降る(そうです)。文頭の「によると」が、伝聞の「そう」を導きます。
  • 後悔/安堵の結末:残念な結果なら 〜てしまいました、良い結果なら 〜てよかったです。
  • 計画 vs 経験:来月〜(行く予定です);子どものとき〜(住んでいました)— 時を表す言葉が形を決めます。
  • 目的 vs 逆接の「のに」:薬を飲んだ(のに)、熱が下がりません — その後の不満の内容が、逆接の「のに」を決定します。
  • ように/ために:忘れない(ように)メモします — 無意志動詞(忘れない)なら「ように」、意志的な目的なら「ために」。N4の定番の対比です。

4. 実践演習(試験シミュレーション)

私は先月から自転車で学校に通っています。前はバスで通っていました。【1】、バスは朝とても込んでいて、時々遅れました。自転車なら時間も自分で決められます。
初めは足が痛くなりました。【2】、今は30分ぐらい走っても平気です。体も強くなった【3】です。
友達も「私もやってみたい」と言っています。来週から二人で通う【4】です。

  1. バスの問題点が理由を説明する流れ → 理由・説明的な接続詞;前文が「バスを使っていた」、次文が「混んでいた」というネガティブな内容。単純な逆接ではなく、補足・説明の流れになるため、選択肢の中で文脈に合うもの(でもしかし)を選びます。ただし「バスは混んでいた」というデメリットを強調する転換として機能します。
  2. 最初は痛かった → 今は平気:時間経過による状態の変化=でも、もしくは「初めは…が/でも、今は…」のセット。選択肢に「でも」があれば適切です。
  3. 体も強くなった+自分の感覚・推量:〜ようです? 自分の体の変化を客観的に感じているため、ようです/気がします が自然です。選択肢では「よう(様態)」と「そう(伝聞)」が対比されます。
  4. 来週の計画、予定:通う予定です(または「つもり」)。二人の計画であれば「予定」が最適です。

【1】と【2】の教訓:N4では抽象的に接続詞を選ぶのではなく、関係性を分類してから、選択肢にある中からそのクラスに当てはまるものを選ぶのがコツです。まずは分類、次に選択。

5. N4の手紙形式の文章

先生やホームステイ先に宛てた手紙は、N4の頻出テーマです。決まり文句:挨拶(お元気ですか)、感謝(先日はありがとうございました)、近況(〜ています)、後半の提案や願い(〜たいと思っています)、結びの言葉(体に気をつけてください)。ここでの狙い目は授受動詞:母が送って(くれた)お菓子です — 自分側への恩恵なので「くれる」。

6. 戦略チェックリスト

  • 空所を埋める前に、文章全体(5〜8文程度)を一度通して読む。
  • 接続詞の空所:関係性(付加・結果・転換・継続・例示)を分類し、選択肢を絞る。
  • 文法空所:決定打となるシグナルを探す(によると→そうだ、時を表す言葉→時制、不満→のに、無意志動詞→ように)。
  • 話題の主語が切り替わっていないか注意し、手紙では自分側への恩恵(くれる/もらう)の流れを確認する。
  • 全4問を5分以内で解く(読解含む)。

まとめ・重要なポイント

  • N4の文章文法=接続詞(それに、それで、それでも、また、すると…)+指示語+流れで決まる形式。
  • 「それで」は結果の報告、「だから」は理由の主張。「それでも」=「それに負けず」、「すると」=「そうしたら(驚き)」。
  • 文法形式は隣接語に従う:によると→伝聞そう、時を表す語→時制、不平不満→のに、忘れないように→無意志の目的。
  • 手紙:感謝の儀礼、進行中の近況、自分側へ向かう恩恵(くれる)。
  • 選択肢を見る前に「関係性」を分類する — 分類すれば、自ずと接続詞は決まります。