はじめに:言葉で自分の思いや考えを届けよう!
国語の「書くこと」の学習へようこそ!
この章では、自分の考えをしっかりと相手に伝える「意見文(いけんぶん)」と、日本の伝統的なリズムにのせて気持ちを表現する「短歌(たんか)・俳句(はいく)」のつくり方を学びます。
「自分の意見を書くのは難しそう…」「五・七・五のリズムに言葉がうまく入らない…」と感じる人もいるかもしれません。最初は難しく感じるかもしれませんが、大丈夫です!順序立てて考えたり、言葉をひとつずつ選んだりするコツをつかめば、だれでもすてきな文章や作品をつくることができます。
自分の思いを言葉にして、読む人に届ける楽しさをいっしょに味わいましょう!
(※観察したことや調べたことの報告、物語づくりについては別の章で学習します。)
第1回:説得力のある「意見文」をつくろう
意見文とは、あるテーマについて「自分はこう考える」「このように提案したい」という意見を、理由や事実とともに伝える文章です。
1. 「事実」「感想」「意見」を見分けよう
意見文を書くときにいちばん大切なのは、「事実」「感想」「意見」をしっかり区別することです。これがごちゃまぜになると、読み手に自分の考えが正しく伝わりません。
・事実(じじつ):だれが見ても本当だとわかる客観的なことがら(例:「昨日の放課後、校庭で雨が降った」「図書室の本の貸出数が昨年より増えた」)
・感想(かんそう):ものごとにふれて、心が動いたこと(例:「雨が降って残念だった」「本がたくさん読まれていてうれしい」)
・意見(いけん):事実や体験をもとに、「自分はこう思う」「こうするべきだ」と判断した考え(例:「雨の日でも楽しく過ごせるように、教室にボードゲームを置くべきだ」「本を探しやすくするために、本の分類ラベルを新しく作り直すとよいと考える」)
【ポイント】
意見文では、「私はこう思う(意見)」だけでなく、それを支える「なぜなら〜だからだ(事実や理由)」をセットにすることが基本です。
2. 意見文の組み立て(はじめ・なか・おわり)
意見文は、段落を使って「はじめ・なか・おわり」の3つの部分に分けて組み立てると、すっきりと伝わりやすくなります。
はじめ(意見の提示)
・取り上げる話題やきっかけを書きます。
・自分が伝えたい中心の「意見」や「提案」を短くはっきり書きます。
なか(理由と具体例・事実)
・なぜその意見をもったのか、理由を説明します。
・理由を裏付ける自分の体験や、調べた事実(アンケート結果、図表やグラフのデータ、本や新聞からの引用など)を具体的に挙げます。
・段落を分けて「第一に…」「第二に…」と整理すると、いっそうわかりやすくなります。
おわり(まとめ)
・もう一度、自分の意見や提案をまとめます。
・これからどうしていきたいかという前向きな結びの言葉を書きます。
3. 資料や引用(いんよう)の使い方
学年が上がると、本や資料の言葉を文章の中で使う「引用」や、図表・グラフを活用して意見文を書く学習をします。
・本や新聞の言葉をそのまま使うときは、かぎかっこ(「 」)で囲み、文章を勝手に変えないようにします。
・だれの何という本や資料から引いたのか(出典)をしっかり示します。
・図表やグラフを使うときは、「資料1のグラフからわかるように、〜」のように言葉で説明をそえます。
【よくある間違い】
× 「みんなが言っているから絶対に正しいです。」(理由があいまいです)
○ 「アンケートの結果、学年の8割の人が賛成しています。したがって〜」(客観的な事実にもとづいていて説得力があります)
文末の形にも注意しましょう。「〜です・〜ます」(敬体)か、「〜だ・〜である」(常体)のどちらかにそろえて書くのがルールです。
第2回:短歌と俳句をつくろう
日本の言葉には、音の響きやリズムを楽しむ美しい文化があります。自分の感動や季節の美しさを、短い文字数にぎゅっと詰め込んでみましょう。
1. 音の数え方を知ろう
短歌や俳句をつくるときは、言葉の「音(おん)」を指を折って数えます。
音の数え方には、いくつか気をつけるポイントがあります。
・ふつうのひらがな:「さ・く・ら」= 3音
・小さい「っ」(促音):「きっ・て」= 3音(「っ」も1音と数えます)
・「ん」(撥音):「とん・ぼ」= 3音(「ん」も1音と数えます)
・のばす音「ー」(長音):「ノ・ー・ト」= 3音(「ー」も1音と数えます)
・小さい「ゃ・ゅ・ょ」(拗音):「きょ・う・し・つ」= 4音(「きょ」のように2文字で1音と数えます)
2. 俳句(はいく)のつくり方
俳句は、五・七・五の計 \(5 + 7 + 5 = 17\) 音でつくられる、世界でいちばん短い詩のひとつです。
・季語(きご)を入れよう:季節を表す言葉(春の「桜」「入学」、夏の「ひまわり」「夕立」、秋の「紅葉」「いわし雲」、冬の「雪」「息白し」など)を一つ選びます。
・心に残った一瞬を切り取ろう:「きれいだな」「びっくりしたな」と感じた瞬間の景色や音をそのまま言葉にします。
・切れ字(きれじ)の工夫:「〜かな」「〜や」「〜けり」などの言葉を使って文を区切ると、そこに深い余韻(よいん)や感動が生まれます。
【豆知識】
季語は、俳句の中に原則として一つだけ入れるのが美しいとされています。季語が二つも三つも入ってしまうと、どの季節の感動を伝えたいのかがぼやけてしまうからです。
3. 短歌(たんか)のつくり方
短歌は、五・七・五・七・七の計 \(5 + 7 + 5 + 7 + 7 = 31\) 音でつくられます。
俳句よりも文字数が多い分、自分の気持ちや情景をよりくわしく歌うことができます。
・必ずしも季語を入れる決まりはありません。
・日常のふとした出来事、家族や友達との会話、自分の心の中のつぶやきなどを素直に表現します。
・表現の工夫:
・比喩(ひゆ・たとえ):「まるで〜のようだ」「〜のように」を使って、様子を生き生きと描きます。
・反復(はんぷく・くり返し):同じ言葉を重ねて、リズムを弾ませたり強調したりします。
【よくある間違い】
音の数が1音多くなることを「字余り(じあまり)」、1音足りないことを「字足らず(じたらず)」といいます。基本は五・七・五や五・七・五・七・七ですが、どうしても使いたい大切な言葉があるときは、1音くらいの字余りになっても心配いりません。気持ちが生きていることをいちばん大切にしましょう。
第3回:推敲(すいこう)と友達との交流
文章や詩歌は、一度書いたら終わりではありません。読み返して手直しをすることを「推敲(すいこう)」といいます。
1. 読み返して確認するチェックリスト
・音読してみる:声に出して読んだとき、リズムがつっかえたり、不自然な言い回しになったりしていませんか?
・主語と述語の対応:「だれが(何が)」「どうした」の関係が正しくつながっていますか?
・事実と意見の区別:意見文で、事実と自分の考えが正しく書き分けられていますか?
・言葉の表記:漢字とひらがなの使い分け、送り仮名、原稿用紙の使い方は合っていますか?
2. 読み合ってよいところを見つけよう
書き上がったら、友達同士で作品を読み合ってみましょう。
・「この具体例があるから、意見にすごく納得できたよ」
・「この言葉の選び方が、情景が目に浮かぶようでとてもすてきだね」
このように、お互いの工夫やよいところを見つけて伝え合うことで、自分の表現の幅がぐんと広がっていきます。
【まとめ】
・意見文は、「意見」と「理由・事実」を組み合わせ、段落を整えて書く。
・俳句は「五・七・五(17音)」で季語を一つ入れて一瞬を描く。
・短歌は「五・七・五・七・七(31音)」で素直な気持ちや感動を歌う。
・書き終わったら声に出して読み返し、推敲して友達とよさを伝え合う!